経済波及効果分析

最終更新日 2021年3月26日ページID 014278

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経済波及効果とは

経済波及効果分析の方法

分析上の注意点

 

経済波及効果分析とは

 経済波及効果とは、新たに需要が発生したときに、その需要を満たすために次々と新たな生産が誘発されていくことを言います。まるで波(波紋)が移動するように次々と波及していくことから、生産波及効果とも呼ばれます。

 例えば、建設部門で需要増加(新たな建物の建築など)があった場合を考えてみましょう。建物などを建設するには鉄骨やコンクリート、ボルトなどの建設資材や設備、それを動かすための燃料や電気などの原材料が必要となります。さらに、それらの建設資材等を得るために、その原材料(砂利や鋼材など)の生産が必要になります。そしてさらに、それらの原材料の原材料の生産が必要になる…というように、生産が生産を呼んで(生産誘発)、いろいろな産業へと次々と生産が波及していきます。

波及のイメージ

 直接の需要増加額(上の例では建物の建築)のうち自地域内で調達できる分(直接効果と呼びます。自地域内で調達できない分は他の地域から移輸入してくることになり、自地域での生産活動には結び付かないため、分析では除外します。)と、その原材料等(上の例では建設資材など)の生産による波及効果(第1次間接効果と呼びます。生産誘発が0になるまでのすべての段階を含みます。)を1次波及効果(=直接効果+第1次間接効果)と呼びます。

 1次波及効果により生産が増えると、それらの事業所で働く人たちの所得も増えます。その増えた所得で新たな買い物をすることにより、様々な製品の購入が増えることになります(所得が消費に回る) 。すると、その新たに購入される製品の生産が必要になってきます(消費が生産を呼ぶ)。それらの製品の生産が増えると、その製品を作る工場で働く人たちの所得が増えます(生産が所得を生む)。ここまでを2次波及効果または第2次間接効果と呼びます。

2次波及効果により増えた所得でまた新たな製品が購入されて、それらの製品の生産が誘発されるというように、所得→消費→生産→所得→消費→生産→…と、2次波及効果のときと同じように3次波及効果、4次波及効果、…と、波及効果が0になるまで次々と続いていきます。
 ただし、通常の経済波及効果分析では、3次波及効果以降の生産誘発額は極めて小さく、また、在庫処分などにより波及の中断等が考えられるため、2次波及効果までで留め置きます。

 建設部門で100億円の需要増加があった場合(例えば100億円のビル新築などの場合)の経済波及効果の流れについては、分析事例を参照してください。
 なお、粗付加価値額とは、生産活動によって新たに生み出された価値をいい、生産額から中間投入額(生産活動に必要な原材料・燃料などの購入費用)を引いたもので、雇用者所得や営業余剰、減価償却費、間接税などが含まれます。粗付加価値は、県民経済計算の県内総生産の概念にほぼ対応していますが、一部扱い方の異なる部分がありますので、厳密には一致しません。
 

経済波及効果分析の方法

 経済波及効果を分析するために使用されるのが産業連関表であり、産業連関表から導き出された逆行列係数表を用いて計算します。具体的には、需要増加額に逆行列係数を掛け合わせて((注)行列計算です)計算していきます。

 県では、一般の方でも簡単に経済波及効果分析ができるように、平成27年福井県産業連関表による経済波及効果分析ツールを作成しています。需要増加額といくつかの前提条件を設定すれば、経済波及効果を計算できます。分析ツールは統合大分類(37部門)で作成しています。分析の差異には、部門分類表で対応する品目を確認しながら入力するなど、十分注意してください。

 経済波及効果分析にあたって一番大事なことは、需要増加額の設定です。どの部門(産業)にどれぐらいの需要の増加を見込むかが、分析結果の正確性を左右することになります。仮に需要増加額の金額の推計が正しくても、誤った部門に振り分けてしまえば、正確な波及効果を計算することはできません。

分析ツールはこちら → 統合大分類(37部門)の分析ツール

 実際に分析ツールを用いて分析した事例をいくつか掲載しておきますので、ツールの使い方も含めて、参考にしてください。ただし、ここで紹介する事例はツールの使い方を示すために設定条件等を大幅に簡略化して分析したものであり、必ずしも正確な分析結果とはなっていませんので、ご留意ください。

分析事例1 100億円の建設投資(用地取得等は除く)があった場合の経済波及効果

 建設部門に100億円の投資があった場合(公共施設や道路、鉄道などを建設する場合)の経済波及効果について分析したものです。具体的な分析の流れはこちらのファイル(PDF形式)をご覧ください。

分析上の注意点

分析にあたっては、いくつか注意点があります。

  1. 分析が達成される期間、すなわち、いつごろどの産業にどの程度の波及が及ぶかについては明確ではありません。
  2. 県内の生産能力を大きく上回る場合は、その超過分を県外からの移輸入でまかなうことになる場合もあります。 その場合は、県内への波及効果は推計より小さくなります。
  3. 在庫での対応は考慮していません。すなわち、ある商品に多量の在庫がある場合は、新たに生産するのではなく、在庫を利用していくことが考えられますので、実際の波及効果は推計より小さくなることもあります。
  4. 就業者誘発数は、残業などで対応すると推計どおりには増加しません。
  5. 生産の技術的関係は短期的には変化しない(大幅な技術革新は考慮しない)という仮定のもとでの推計になります。
  6. 分析に使用している産業構造は平成27年のものであり、その後の産業構造の変化は考慮されていません。(分析ツールは最新の産業連関表を用いて作成していますが、産業連関表は5年毎に作成されており、平成27年産業連関表が最新のものです。次回の令和2年産業連関表は令和8年3月頃に公表の予定です。)
  7. 分析ツールは福井県内全体への波及効果を推計しており、市町ごとの波及効果は分かりません。
  8. 価格波及効果分析は、福井県内の産業間の取引関係をもとに価格変化率を計算しているものですので、計算された結果は全国の変化率を表すものではありません。

分析事例提供のお願い

 当課では、産業連関表を用いた分析事例を集めています。この表でレポートや資料などを作成されたときには、今後の参考にさせていただきますので、成果物・ご意見等をいただければ幸いです。

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