知事記者会見の概要(令和3年10月21日(木))
令和3年10月21日(木曜日)
10:30~11:30
県庁 大会議室
【知事】
まず、私から発表させていただきます。
〔配付資料:新型コロナウイルス感染症対策について〕
本日は、新型コロナウイルス感染症の感染者は見つかっておらず、ゼロの予定です。これで1週間の感染者数が5人になり、久しぶりに1桁ということになっています。具体的には、6月13日以来、130日ぶりという状況になっています。また、病床の使用も7床ということで、これにつきましては3月25日以来、210日ぶりということです。また、宿泊療養施設の使用もゼロになりましたので、これは7月25日以来、88日ぶりと大分落ち着いてきた状況です。そういう中で40歳未満の方の接種率が大分上がってきました。1回目の接種率は75%程度まで上がってきています。しかし、残り25%が減っていない。また、感染される方の率も30代までの方が活動量も多いことから感染リスクも大きいということです。第5波における30代以下の方の感染者を見てみても、95.7%は未接種の方という状況です。昨日現在で入院していた11人は、やはり未接種の方ということでしたので、何といってもワクチン接種は重要であることをご理解いただきたいと思います。
その上で、これから年末年始には第6波があり得ると言われています。是非ともそれに間に合う形で2回の接種を終えていただきたい。そういう意味では、11月までに2回の接種が終えられるようにワクチン接種をぜひご検討いただきたいと考えているところです。
また、12歳未満の子どもでは、学校を中心として部活動も再開してきています。こういう中で感染が広がらないようにぜひ周りの大人が接種を進めていただきたい。やはりリスクとしては、2週間程度、仕事や会社、学校に行けないというようなことになりますし、重症化や後遺症の可能性もあります。ワクチン接種をしていないと、大都市部を見ていても重症化したり、亡くなるという例もありますので、こういったことは十分にご理解をいただきたいと思います。若い方にも後遺症として味覚や嗅覚障害、息苦しさが残るというようなお話もございます。そういうことで、今週末、来週末にかけましてエルパプラスの集団接種県営会場において予約なしで接種を受けられる体制を整えさせていただきます。接種券と身分証明書、それから予診票についてはお持ちいただきたいと思います。1回目を打った後は、モデルナ接種センターである岩井病院で日程調整をして打っていただける体制を組みますので、まず1回目を打っていただければと思っています。また、接種についての相談、予約も含めて、ワクチン接種相談センターにご連絡をいただければ、24時間受け付けています。ワクチンのQ&Aや予約窓口、外国人の方へのサポートデスクといったものもお配りしている資料にQRコードで掲げさせていただいていますので、ぜひ広報などもよろしくお願いいたします。
また、ワクチン・検査パッケージが今全国的に行われています。実証実験については、福井県においても来月の13、14日にワンパークフェスティバルが開催されますので、主催者と相談、連携をしまして、導入の課題を検証させていただこうと考えているところです。具体的には、ワクチンを2回接種した証明やPCR検査の陰性証明または会場での抗原検査による陰性確認というやり方をさせていただきます。ワクチン・検査パッケージはどちらかというと大都市部で、特に一定程度の感染が広がっているときに、行動抑制の緩和の際に行われていくとのことです。一方で、例えばPCR検査を受ける費用は都市部では安くなっていますが、地方においてはそれがないなどのいろいろな課題もあります。こういったことについて、アンケート調査も行わせていただこうと考えています。ワンパークフェスティバルについては主催者といろいろ相談をさせていただいています。今のワクチン・検査パッケージでできるだけ安全の確認をしていくということも一つであります。また、会場前方が混雑すると言われていますが、こういったところもきちんと線を引いたりするような形でソーシャルディスタンスの確保を行う。そして、お酒の販売はしないということ。また、飲食も基本的にはエリアの外での経済対策も含めて、皆様も外で食事をしてきてくださいというような形でPRもさせていただいて、中に外のものを持ち込まないということ。さらには密になったりもするので、もちろん事前にも周知していただけるというお話になっていますが、会場内で放送させていただいたり、プラカードで呼びかけをして、密にならないようにする。私どもからはもしそういった状況になったときには、中止をするというようなこともお願いをしています。また、検温アルコール消毒を徹底し、安全な形でイベントの実証実験を行っていきたいと思っています。
〔配付資料:北陸新幹線福井・敦賀開業PRロゴマークについて〕
二つ目は、北陸新幹線福井・敦賀開業PRのロゴマークについてです。皆様に投票を行っていただこうと思っています。5月までの募集で768点の応募がありました。その後審査委員会を経て、ロゴマークを最終一案にするということについて、また県民の皆様のご意見を伺う予定でしたが、コロナ禍で大変でしたので、そういう雰囲気でもありませんでした。現在、コロナも大分落ち着いてきましたので、これをまたやらせていただこうと思っています。これまでに、県の専門家の方の皆様のご協力をいただきながら、事務局で768点の中から20点まで絞りまして、そのあと審査委員会で4つに絞っていただいています。
4作品のコンセプトについて、福井のいろいろな地味にすごいものが描かれているもの。少しかわいく親近感のあるデザインにしたもの。そして新幹線と恐竜の二つをセットに一体化して斬新なデザインにしたもの。さらにはロゴのほうを目立たせて、その背景に県内のカニなどのいろいろなピクトグラムを描いたもの。この4作品について、好きな順番、意見を募集させていただきます。募集期間は今日から1か月間でして、募集した意見を踏まえて審査委員会で1作品を選定して1月頃に発表をさせていただこうと考えています。
またあわせて、「私が思う『福井の地味にすごい』」を同時募集させていただこうと思っています。50名の方にいちほまれなどが当たりますので、ぜひともご応募いただきたいと思っています。
〔配付資料:令和3年度原子力総合防災訓練について〕
三つ目は、今年度の原子力総合防災訓練についてです。今回は、来週の29日金曜日、30日土曜日に美浜発電所を対象として行わせていただきます。参加人員は住民避難350人ということですが、屋内避難の退避行動に4,700名ほどご協力をいただきます。また、関係機関は約100機関、1,800名の方にもご協力をいただきます。昨年は50名ということでしたが、コロナ禍を意識して抑えて350名に参加していただきます。
訓練の内容としては、初日は実務的な訓練を中心として災害対策本部の運営訓練、それから非常事態が発生したという想定のもとで、現場での訓練も行わせていただきます。その上で、土曜日は住民避難訓練を行います。バスや自家用車の広域避難もさせていただきますが、この中で福祉施設の受け入れの訓練もできるだけ具体的にという県議会でのご提言もありましたので、ベッドの配置やトイレ、浴室の動線の確保までといった現場の前まで行くだけではなくて、施設内で実際にベッドを配置してみるなどといったことも行わせていただきます。さらに、コロナ禍でも避難所を確保するに当たって、これでは少し面積が足りないという状況に備え、近隣の市町の避難施設やホテルを確保させていただきます。また、外国人の方にも参加していただき、フェイスブックや翻訳アプリなども活用しながら、外国語での避難誘導の訓練もさせていただこうと思っています。詳細については、午後に担当部局より記者説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
~質疑~
【記者】
新型コロナ感染者数も1週間で5人と減ってきている中で、改めて知事の受け止めについてお聞かせください。
【知事】
県民の皆様のご協力をいただき、今月の14日をもって警報を解除させていただきました。その上で、全国的に感染者は減ってきていますが、一部地域でリバウンドが始まっているのではないのかという専門家の意見も少しずつ出てきている状況です。このまま減り続けるという状況はないと考えています。そういう点で、あれは駄目、これは駄目という考え方ではなくて、一人ひとりが「おはなしはマスク」を徹底する。とにかくマスクなしの会話での感染が圧倒的に多いということが県内の調査からわかっていますので、まず県内で徹底する。そして、これまでの例を見ても福井県の場合は、外からまず入ってきてそれが広がっていくということが明らかですので、県外に行ったときには特に気をつけていただきたいと思います。
また、親しい関係の感染ということが非常に多い。「親しき仲こそマスクあり」ということで久しぶりに会うご親族や古い友人との同窓会などのときは特に気をつけて、マスク会食などの励行を個人のレベルでよくお考えいただきたい。
さらに、12歳未満のお子さんは依然としてワクチン接種はできませんので、周りが気をつけていくことでお子さんにうつさない。具合が悪いと思ったら、すぐに病院へ行く、家の中で養生しているなどといったことを励行していただきたいと考えています。
【記者】
県では3回目のワクチン接種をまだ検討する段階ではないのでしょうか。
【知事】
国会の答弁で、総理や堀内ワクチン担当大臣が12月から3回目のワクチン接種を始めていく方針をお示しになっています。県内には3回目用としてすでに約4万3,000回分のワクチンが届けられています。考え方としては、今年5月末までに2回のワクチン接種を終えた方の接種回数を参考にして、全国に配分していると聞いています。12月頃から医療関係者などから接種を始めていく考え方のようですので、まずその準備は進めています。できるだけ早くに、いつごろ、誰に、どういう順番でワクチンを打っていくのか、こうしたことを国として明らかにしていただきたいと思っています。市町とも3回目の接種に向けて準備を進めているところです。
【記者】
早ければ12月から県も3回目の接種を実行していきたいということでしょうか。
【知事】
国がどういう方針を示すかによりますので、国が12月には打ち始めるということであれば、それに従って、打てる体制を整えつつあるというところです。
【記者】
今日から予約なしのワクチン接種の受け付けを始められるということで、受付の規模やキャパシティとしては何人ぐらいを想定されているのでしょうか。
【健康福祉部副部長(感染拡大防止)】
20名程度を想定しています。
【知事】
希望者が来られれば、県庁からすぐワクチンを持っていけますので、できる限り対応できるようにしていこうと思います。
【記者】
仮に予約なしの方が殺到してしまってもそこで混乱が起きるようなことはないように準備をされているということでしょうか。
【知事】
一部東京などで起きているような状況にはならないようにしていきます。想定以上の方が来られた場合、ワクチンの準備がありますので、その間の多少の時差はありますが、大混乱になるようなことはないと思います。
【記者】
予約なしの接種は県では初めてでしょうか。
【健康福祉部副部長(感染拡大防止)】
初めてです。
【記者】
今後、より大規模なイベントが県内でも増えてくるかと思いますが、ワクチン・検査パッケージの実証実験などを広げていくような計画はあるのでしょうか。
【知事】
そのつもりで我々も前向きに考えています。しかし、難しい点として、福井県の場合は基本的に行動制限をあまりかけていない状況のなかで、どこの場面で使うのかというところで大都市部との違いがあります。
そして、ワクチン・検査パッケージの制度そのものをよくご検討いただく必要があると思っています。ワクチン接種済の方と陰性証明をされる方では、人にうつさないという意味においては、それなりに安全性が担保されていますが、うつる側から見ると明らかな違いがあります。接種済の方は、うつる機会も少なくなっていますし、うつっても重症化しにくい。それに対して、陰性証明だけの方は、今うつっていないというだけで、うつってしまう可能性があって、重症化のリスクもある。このリスクの違いを、制度の中によく反映させる必要があるだろうということです。
もう一つ、機会の均等という意味で言えば、接種証明は福井県のような地方でもできますが、陰性証明のために、PCR検査を受けようと思うと福井県の場合は、自費になると1万円以上とものすごく高額な自己負担がかかる状況です。そして、検査の量についても、一気に何千人、何万人と来られても、それは受けられない。キャパシティがそこまでありません。こうした全国的な公平性の担保も、制度としては課題があると、国に対して要請をしている部分です。
とはいえ、県内でも皆様の行動制限の緩和に繋がることができないかということを今検討していますので、具体的に何かできるようであれば、進めていきたいと思っています。
【記者】
厚生労働省はモデルナ製のワクチンについて、若い男性に心膜炎など発症の懸念があるということで2回目の接種をファイザーに切り換えることを認めましたが、県の接種計画に影響はあるのでしょうか。
【知事】
そのことは伺っています。変えなければいけないということではありませんが、不安な方は変更が可能だということです。
県としても、そういう方々には、まず接種会場でご説明していますし、事前にホームページなどでも、10代と20代の男性のモデルナ社製のワクチン接種について、心筋症や心膜炎、心筋炎の比率が高いことを注意喚起して、なおかつ変更希望があれば、市町に対してその方がきちんと受けられるようにつないでいます。
一方で数字を見ると、実際にコロナに感染された方の心筋炎の発症率と、ワクチン接種による心筋炎の発症率に対し、明らかにコロナに感染した人の方が20倍程度高くなっています。国もこういうことを説明していますが、ワクチンを接種する場合の安全度、メリットの方が大きいと説明を受けています。
我々はよく説明をした上で、ファイザーに変えられたい方には、変更がしやすいように環境を整えることをやらせていただきたいと思います。
【記者】
変更を希望される方は、その手続きができるようにしているということでしょうか。
【知事】
実際にしています。市町の接種もほとんどすぐに受けられるような状況ですので、スムーズに行けるように市町にも連絡をさせていただいています。実際には、そのままモデルナを打たれる方のほうが多いようです。
【記者】
接種計画に大きな影響はないということでしょうか。
【知事】
ありません。
【記者】
ワクチン接種は県内で順調に進んでいると思いますが、完了とするためにはどのぐらいの接種率を見込んでいるのでしょうか。
【知事】
完了というものはないと思います。少しでも多くの方にワクチンを打っていただくということが大切だと思っていますので、私どもとしては接種のいろいろな情報をきちんと出すことで、より多くの方に接種していただくということを続けていくのだろうと思っています。
少なくとも、接種をされたいという方に対して、10月中に2回きちんと接種し終わるということについては、達成できる状況だろうと思っています。
【記者】
全国的に見ても、かなり接種率が高く推移をしたと思うのですが、なぜ高く推移できたのかというところでご所見があれば教えてください。
【知事】
これはいろいろな議論がありましたが、私は国もよくやられていたと思います。最初のうちは少しスムーズでなかったところありましたが、ワクチンを打ち始めてからは、例えば医療機関に対するいろいろな手配や手当などを十分に考えていただいて、市町と医師会との間で私どもがいろいろご相談して、医師会もよく受けていただけたということです。国がすごくスムーズだったかというといろいろな議論ありましたが、大きく言えば、菅政権のころからワクチンが国から届けられて、みんな打ちたいという思いが強い時に一気に打てたというところが大きいかと思います。
あとは、やはり各地方において、しっかりと市町と県が連携しながら、国でワクチンの配分をいろいろな形で行ったり来たりしましたが、そういう中でも冷静に受け止めて、気持ちを高めながらやっていけたというところがあると思いますし、県民の皆様のご理解もいただけたかと思っています。
【記者】
特に福井県は早く接種が終わりつつあると思うのですが、その理由があれば教えてください。
【知事】
現実にそうなっていますが、少しでも早くワクチン接種を進めることが、感染を抑える切り札であろうと考えていましたので、市町と相談して、いかにスムーズにワクチンをまわしていくか。特に最初のころは、2回分のワクチンの量が確保できた人にだけ打つというようなことをやっていましたが、福井県はできるだけそこから離れて、在庫はある程度抱えますが、2回分を確保してから1人に打っていくことをやると半分あるいはその分が残っていき、常に確保し続けているということになるので、そうではなく、県が調整分をうまく使い、市町との間で融通してもらいながら、手元にあるワクチンをできるだけ早くまわしていく努力もさせていただきました。こういった協力も、市町には大変よくしていただいたなと思います。こういう工夫もやはり早めに接種を進めるために、県民の皆様も打ちたいと思っているので、それが長く待たされると、なかなかその気が失せてくる、弱まっていくということがあります。
こういうことを最初から考えていましたので、そういう意味では早い段階で打てたことも、また接種率が上がってきたことにも繋がっていると思っています。
【記者】
3回目接種については、医療従事者からの想定をされているということでしたが、これが進んで一般の人が3回目を打つとなった場合は、例えば集団接種会場などのこれまでと同じようなイメージを持たれているのでしょうか。それともまた違うやり方になっていくのでしょうか。
【知事】
これまでの経験がありますので、それを活かしながら、いろいろなバリエーションというようなものがあります。最初は、医療機関ですから、ご自身で打てるところから、高齢者の施設をどうするか、リスクの高い方をどうするかなど、また順番が前後する過程もありましたので、一番ワクチンの量がどういう状況になっているかということを教えてさえいただければ我々は安定的にやっていける体制にはあると思っています。
【記者】
県の集団接種会場は今月末で1回閉じることになりますが、ワクチンの量が確保されていけば、また再開してやっていくことも可能性としてあり得るということでしょうか。
【知事】
そうです。どれぐらいの頻度で打っていかなくてはいけないかを見ながら、集団接種という方法もあるでしょうし、基本的には市町のかかりつけ医で打っていただく方法が量的には一番たくさんこなせます。これらを中心に考えながら、集団接種や職域接種も含めて、国がどういう方針を持つかということに従って、我々としては柔軟に対応していきたいと思っています。
【記者】
1回目の接種で体調がすごく悪くなるなど、2回打ち切れない方もいるかと思うのですが、そういった方々への配慮についてお聞かせください
【知事】
これは特に事実として、2回目の接種の後の副反応が大きいということがある中で1度目の接種で副反応がそれなりに出た方は、2度目がやはり慎重にならざるを得ないということはあると思っています。そういう方は当然ワクチンの接種をできない。そもそもできない方も含めて、全体として、社会生活にできるだけ不便がないようにワクチン・検査パッケージも含めて、今いろいろなことを考えられているのだろうと思います。
あとは12歳未満の子どもたちもそうですが、感染を広げていかないように、まずは接種できる方が接種していただく。そして、できるだけ感染を広げないということを意識して行動していただくこと。そういったワクチンの接種が進められない方々に対しての配慮を行いながら、全体として、感染を抑えていく。そういう意味では皆さんで配慮し合いながら、進めていくのだろうと思っています。
【記者】
検査パッケージが広がって不公平感などが感じられないように、何か配慮することなどを検討されているのでしょうか。
【知事】
我々としては、特に検査のところは、まず価格の問題と受ける頻度についてそれだけの量が確保できるかということはあります。そういったことについて、国に必要な財政負担やPCR検査を受けられる機会を均等にするようにというお願いもしています。そういったことをこれからも続けながら、県としても、例えばワンパークフェスティバルのようなときには、主催者の方にもご配慮いただいて、現場でできるようにするというような、抗原検査キットなどを使って24時間程度は人にはうつさない状況が確認できますので、そういったようなことも含めて、柔軟にやっていくことが大事かと思っています。
【記者】
大規模接種会場での接種は変わらずモデルナでしょうか。
【知事】
エルパプラスではモデルナ社製で今回やらせていただきます。
【記者】
原子力防災訓練の開催日が衆議院議員総選挙の前日ですが、訓練への影響や変更点などはあるのでしょうか。
【知事】
市や町、関係機関とも相談させていただき、訓練会場が投票所・開票所などと重なってはいけないなどの苦労はありましたが、最終的に350人の住民の方には避難に参加いただくということで全ての機関に合意いただきました。
【記者】
予定に大きな変更はなく、進められるということでしょうか。
【知事】
おっしゃるとおりで、コロナ禍が収まっていない中で、できる範囲のことをやらせていただきます。
【記者】
10月23日で美浜原発3号機が停止する見通しですが、知事の受け止めをお聞かせください。
【知事】
美浜3号機については、全国で初めての40年超運転、また10年間動いていなかったので、安全第一にということを再三再四、国にも事業者にも申し上げてきました。結果として、予備のポンプや非常用電源といったところで一部トラブルがありましたが、大きなトラブルはなく、いずれも予備のものであるから、難しい問題でもありませんでした。大きなトラブルなく運転できていることにはほっとしています。
その上で、40年超運転に限らず、安全に運転されていることが、県民の皆様、また全国的にも安全安心につながると考えていますので、引き続き事業者には慎重な、安全第一の運転を心がけていただきたいと思っています。
【記者】
原子力総合防災訓練について、40年超運転が行われていることを受けて、例えば総合防災訓練の中で動いてなかった時期と比べて何か変更している点、あるいは動き出したことを受けて、より重点的に見ていきたいポイントなどをお聞かせください。
【知事】
一つは、美浜原発の広域避難計画ができましたので、そういう意味では40年超運転の広域避難計画に基づいて訓練をさせていただくということは一つの特徴です。しかし、40年超だからといって、これまでの課題として挙げられていた福祉施設の方、そしてコロナ禍で避難所をどのように拡大するのかということや外国人の対応を新しくさせていただいていますが、特段、いずれの原子力発電所であっても、安全性の確認やもしもの時の緊急時対応、最悪の事態を想定していますので、それは40年超かどうかということに限らず、実施をさせていただくということです。
【記者】
北陸新幹線福井・敦賀開業PRのロゴマークを四つに絞られたということですが、それぞれの知事の率直な感想をお聞かせください。
【知事】
これは、いずれも特徴があるなと私は思っています。福井らしさをどのように出すかということを皆さん工夫されているものが選ばれていると思います。見て福井だということがわかるようなものをピクトグラムであったり、新幹線と恐竜であったり、中に新幹線や波が入っている形、恐竜や眼鏡、東尋坊が入っているなど、「地味にすごい、福井」ということをマークの中でどうやって表すのかという工夫をされていると私も感じました。
【記者】
最終的に一案に絞られると思いますが、その後PRにどのように活用していきたいとお考えでしょうか。
【知事】
やはり新幹線の福井・敦賀開業に向けて、東京方面や北関東といった方面への旗印にしていくということですので、ポスターやパンフレットにこのマークを使っていくことを考えています。例えば、私たちの名刺の中にも書くこともあると思います。また、お土産品のパッケージにもロゴマークを使っていただく。民間の皆さんにもよくご説明しながら、これを活かしていただく。石川県や富山県でもたくさんのぼり旗にするなどいろいろな形でやっていますので、そういったことも福井県ではやっていきたいと思います。
【記者】
ブランド総合研究所が都道府県の魅力度ランキングを発表したと思います。福井は39位で前回よりも上がったということですが、今後「地味にすごい、福井」の魅力をどう発信し、高めていくのかをお聞かせください。
【知事】
上がったということは、ある意味うれしいというところです。一喜一憂するわけではありませんが、ランキングを見ていると、やはり少し大都市部に偏る傾向のあるとり方をしているという感じも受けます。概ね見てみると、知名度と魅力度が両方合わさってくると上にいくというのが私の個人的な感想になります。
そういう意味では、やはりそういった部分をターゲットにしながら、福井の魅力度を上げていくことが大事だと思っています。新幹線も来ますので、確実にこれから露出度も上がっていきます。そういったところにうまく乗じて、いろいろなキャンペーンも打っていくことはありますし、そもそも福井を知ってもらうということは大事だと思いますので、今やっている観光施設などの磨き上げをしながら、例えば、食や伝統工芸なども絡めて、来てもらったら「こんなところもあった」と地味にすごいところを見てもらう。
本物感というのは、以前も申し上げましたが、そういったものを感じていただけるように、こちらでまず準備をする。それを発信していく。発信の仕方もPRでいろいろな物量作戦でやっていく方法もあれば、SNSを使ったり、またゴディバさんとも今いろいろとタイアップなどを進めてきています。そういったブランド力を使っていく、自分でもつけていく。こういったことをしながら、できるだけ魅力度を上げて、みんなに知ってもらって魅力が上がると多分さらに上がっていく。伸びしろは大きいと思いますので、そういう意味では期待を持ちながら、自分たちでも努力をしたいと思っています。
【記者】
越前市長選で山田さんが新市長になりました。県政運営するに当たっての受け止めや期待の部分があればお聞かせください。
【知事】
山田さんには、当確が出てすぐにお電話もさせていただきました。昔からの旧知の仲ですので、一緒にまた頑張りましょうということで、お互いにエールの交換をさせていただいたところです。
山田新市長の公約の中身を見せていただくと、まずは、県や他の市町との連携ということを謳われています。これまで山田さんがやられてきた仕事にも十分通じているところだと思いますので、大歓迎と申し上げたいと思いますし、我々も一緒にやらせていただきたいと思います。その上で、やはり新幹線の越前たけふ駅の駅前開発にも力を入れられるということで、これは期間も短くなっています。また、進出企業の期待もあるようですので、こういったところで迅速に進めていくというようなことを一緒にやらせていただくことも大事だと思います。
あと、山田さんの公約を見ていると子育ての関係で、例えば5,000円の子ども手当の話や子どもの遊び場を整備するというような話もあります。これは県としても、ぜひ一緒に、さらに進めていけるように、やっていければと思っています。気心が知れていますし、行政経験で見れば、私も同じ経験をたくさんさせていただいています。おっしゃっている中身もとても親和性が高いと思いますので、これから一生懸命、越前市のためにも、我々も努力していきたいと思っています。
【記者】
衆院選が公示されて、県内では小選挙区が与野党の一対一の構図になっています。どういった論戦を期待されていますでしょうか。
【知事】
やはり第一は今のコロナ禍。第5波が終わったところかと思いますが、第6波の備えという意味でのコロナ感染対策をしっかり議論していただくということはあります。大事なことはやはり出口戦略です。出口というものがワクチン・検査パッケージの議論になっていますが、本当に大事なのは、医療の体制をいかに今の新しい状況に合わせて、みんなが医療をしっかり受けられるようにするか。新型コロナウイルス感染症をいかに普通の病気にしていくのかということに力を入れていく必要があると思います。経口薬が出てくると、今は重症化してから病院に行くというような体制でずっときていますが、それを逆転させる。私たち福井県でやっていても重症化率が0.36%と極めて低くなっているのは、最初の段階できちっと見分けをしてやってきています。そこに経口薬が来るとさらに軽症で済むという可能性が高まると思いますので、そういった形に合わせて、重症化させない医療体制をどのように整備するか、これがやはりコロナの出口戦略としては重要だと思っています。
その上で、もっと大きいことはやはりアフターコロナに向けて、今回、大都市部のリスクの大きさということは非常に社会に与えるインパクトが大きいということはよくわかりました。今回はウイルス感染症ですので、何とかこうやって収まってくると、経済が復活するという形です。これがリアルに南海トラフ地震や首都直下地震などに結びついてくると、このリスクの大きさも計り知れないわけでして、分散型国家は非常に重要だと思います。これに向けて大いに議論を進めていただきたい。
福井県で言えば、具体的には基盤整備の北陸新幹線もあります。中部縦貫自動車道のような道路整備についても進めていただく必要があると思いますし、産業の分散ということが大事だと思います。我々も進めていますが、工場をただ広げるだけではなくて、ものづくりから価値づくりと言っていますが、そうした価値の高いものを地方にどう分散していくのか、それがイコール人の分散に繋がるわけですので、そういったことをやる。
あとは、子育て支援です。次世代の人材育成を含めて、子育て支援も野田少子化担当大臣就任の日に私は会って話していますが、そういったことも一緒になって地方とともにやっていければということもあります。
また、エネルギー、原子力政策についても、再生可能エネルギーだけで物事が進むことは無理だろうというご議論がありますので、こういったことが現実的に2050年のカーボンフリーに向けた政策もしっかりと形にする議論を進めていただきたい。
【記者】
石川県知事と富山県知事が懇談され、福井県も巻き込んで、3県知事懇談を開こうという話になっているようですが、知事の方に具体的なお話があるのか、あるいは3県で懇談する際はどういったことの協議を進めていきたいとお考えか、意気込みをお聞かせください。
【知事】
会議が終わった直後に新田知事から電話がきまして、このような話をしたのでぜひという話もありました。それは喜んでというお話を申し上げましたし、詳細も担当から聞いています。一県一県でするよりは、隣県とそれからさらに言えば、北陸全体で物事に取り組んでいくことは、とても大事だと思いますので、これも私としても大歓迎をいたします。
やはり具体的な中身が大事ですので、そういう意味で研究と言いますか、いろいろと話し合いから始めましょうということです。これもいいと思いますので、ぜひ私どもも参加をさせていただきたいと思っています。当面は、やはり新型コロナの関係で観光は有望な方向性だと思いますので、あまり形式的に会議を何回も開くよりは、何かの課題があればオンラインも含めてやりとりしながらどんどんと形にしていくことが大事で、スピード感も重要だと思います。その辺のところもしっかりと話し合いもさせていただいてやっていきたいと思っています。
【記者】
40年超運転で再稼働した美浜原発3号機が今月で止まり、いつか再稼働する時期がまた来ると思いますが、そうすると中間貯蔵施設の問題が再燃すると思います。現時点での状況と今後関西電力に要望することがあればお聞かせください。
【知事】
40年超運転に限らず、当然、原子力発電所を安全に運転していただくことが、地域の発展のためにも重要な部分があります。中間貯蔵の話も以前から重要な課題ということで、各大臣に対しても申し上げてきています。
2023年末までに中間貯蔵施設の予定地を確定するというような約束については、国も当事者として前面に立ってやると約束いただいているので、ここをまずはきっちりと守っていただく必要があると思っています。
その上で、40年超運転に限らず、安全に運転していただく。また立地地域の将来像を明らかにするために共創会議を開いていただいていますが、それに対して、具体的に国、事業者として、自分から、言われたからやるのではなくて、自ら、これからの立地地域の将来像ということも含めて、こんなやり方があるということをぜひ福井で見せていただくことが大事だと思います。
なおかつ、立地地域の安心という意味から言っても、2050年に向けての必要な規模をどうやって確保していくのか、原子力を含めてエネルギーの必要な量をどう確保していくのか、原子力をどう当てはめて、具体的にそれを形にするのか、そのようなことについてもしっかりと検討を進めて、国策としてまとめていっていただきたいと思います。
【記者】
共創会議について、秋頃に方向性を示すと国からあったと思いますが、その後何か状況は変わっているのでしょうか。
【知事】
今日、2回目のワーキンググループを開いて実務的な議論をしています。先般、10月4日が組閣の日だったので、まだ認証は受けていませんが、萩生田経済産業大臣とお会いして、細かい話はできませんでしたが、共創会議のことを含めて進めてほしいということを言っています。これからも2回目の会議でいろんな案を出していただきながら進めていきたい、ただ時期はまだ具体的には伺っていません。
【記者】
萩生田経済産業大臣に変わって一番期待することは何でしょうか。
【知事】
萩生田大臣は前の文部科学大臣であり、「もんじゅ」や「ふげん」などの原子力の状況は十分ご存知だということで、とてもありがたいと思っています。
文部科学大臣時代を拝見していましても、きちんと整理をしながら進める方だという印象を持っています。地元の意見もできるだけ早く、あいさつ程度はさせていただいていますが、中身については話をしていないため、早めにお会いして、原子力もそうですが、産業振興の面も含めて、話し合いができる機会を作れたらよいと思っています。
【記者】
総裁選を振り返ると核燃料サイクルについて議論されていたと思います。どういう感想を持たれたのでしょうか。
【知事】
やはりこれからのカーボンニュートラルやエネルギー全体を考えた時に、その中の一つの大きな課題として、核燃料サイクルがあることを改めて全国の皆さんが認識されたと考えています。いろいろな意見・議論があり、よく世の中で言われている内容に沿った形で議論がされていると感じました。
一方で立地地域として申し上げますと、核燃料サイクルが前提で我々の発電が動いているわけで、こういった現実のところを受け止めていただいて、その上でさらに言えば、2050年のカーボンフリーに向けて、再生可能エネルギーだけでは電力量がとてもまかなえないという専門家の方が圧倒的に多かった。
そういう中で、現実的な原子力政策をどう作っていくのかということを、しっかりと国にはこれから議論をしていただく、形にしていただく、重要な部分は今の核燃料サイクルだと認識しています。
【記者】
前任の梶山大臣とは40年超再稼働の時にも何度か話をされていて、国が当事者としてという話もありましたが、様々な約束をされていたかと思います。萩生田経済産業大臣に代わられてからも、その流れというのは変わらないと思ってよいのでしょうか。
【知事】
エネルギー基本計画がまもなく閣議決定されると思いますが、これに基づいて大臣は当然やられると思います。そういう意味では大きな方向性は変わらないと認識をしていますし、なおかつ先ほど申しましたが、萩生田大臣自身も「もんじゅ」、「ふげん」を始めとして、原子力についての社会状況も含めて十分認識をいただいているということなので、中間貯蔵の話、核燃料サイクルの話、共創会議の話、こういったことについて、変更なく、このまま進めていただけると思います。
こういったことの確認をぜひとも早い機会に、選挙中なのでなかなか難しいですが、終わった後に話し合いもさせていただいて、確認しながら進めていきたいと思います。
【記者】
石川県と富山県の知事で北陸新幹線建設促進同盟会の会長職については、杉本知事にお願いしようということで一致されたようですが、現在の知事のお気持ちをお聞かせください。
【知事】
私も両県の知事の間でそういったお話が出たということは伺っています。新田知事も先のお話のお電話のときにもお話されていました。いつも申し上げていますが、最終的には沿線全体で考えるということです。一方で、沿線全体が一致団結して進めるということが令和5年度当初の着工、そして1日も早い大阪までの全線開業に結びつくと思います。そういう意味では沿線の首長の方々の理解もしくは推薦がいただけるということであれば、私としてもいろいろと前向きに考えなくてはいけないと考えているところです。
【記者】
これまで知事は、福井県はこれから敦賀以西に伸ばしていく当事者でもあるということで富山県に全体を仕切ってもらい、福井県は関西との連携というようなこともお話しされていましたが、ご自身が会長になられた場合に支障はないでしょうか。
【知事】
これはもう考え方を改めて、両方やれば1回で済むといいますか、力が増すわけです。これまでも私は関西広域連合や関西圏の経済界などの大会の時にも参加していました。切り込み隊長というつもりでやっていましたが、もしそうなればですが、重みはさらにつくわけですので、これまで以上に関西圏との連携も強めながら北陸新幹線の建設促進に向けて、全体としての行動力を上げていく役割も果たしたいと考えています。
―― 了 ――
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