知事記者会見の概要(令和3年4月28日(水))
令和3年4月28日(水曜日)
10:30~12:20
県庁 大会議室
〔配付資料:「安全・安心ふくいプログラム2021-2022」の策定について、概要版、本冊〕
【知事】
まず「安全・安心ふくいプログラム2021-2022」の策定についてお話いたします。今日はこの後、遠藤県警察本部長からもご発言をいただくこととしております。
福井県におきましては、平成15年から治安回復プログラムを県警とともに総合的治安対策として策定してきました。結果として、18年連続で刑法犯の認知件数は減少しており、令和2年における刑法犯認知件数は2,764件と、戦後最少を記録しています。そういう意味では、凶悪犯を含めて、福井県の治安は安全安心な状況で保たれていると考えています。
一方で、児童虐待、女性に対する犯罪は増加傾向でございます。特殊詐欺の認知件数については少し減っていますが、高齢者の割合は、高止まりの状況が続いています。
また、交通事故死者数については、令和元年は31人と過去50年間で最小でしたが、令和2年はまた10人増加している。さらに特徴としては、死亡者に占める高齢者の割合が75%ということで大変高くなっているということです。こういうことから、今回、今申し上げたような点を重点的に、このプログラムの策定をさせていただいたところです。
県としての主な取り組みを3点申し上げます。
まず、子ども、女性、高齢者を犯罪から守る対策です。児童虐待につきましては、大幅に増えてきている状況です。福井県では、児童虐待が疑われる通告があった場合には、現地に児童相談所の職員が出かけて確認をする。全国的には48時間以内にそれを行うという基準になっておりますが、福井県では24時間以内で行うという高い水準を設定し実行しています。これに対応する専門職の福祉・心理職については、これまでの37名を44名に、7名増やすことを考えています。
その上で、警察や学校など関係機関との連携を強化します。また、DVについては、配偶者暴力被害者支援センターが県内に8か所ございます。この8か所のセンターでは、夜間も含めた面接や電話による対応を行っております。24時間の相談体制といったこともありますが、いつでもご相談に応じますということを周知させていただきます。
また、特殊詐欺、特に高齢者に向けての特殊詐欺が多くなっておりますので、高齢者の方との接触の多いケアマネージャー、スーパーや薬局といったところで声がけをさせていただく、注意喚起をさせていただく、そういうようなことを実行していきたいと思っております。
続きまして、交通事故から県民を守る対策の推進です。現状を申し上げますと、先ほど申し上げた令和2年につきましては、41人の方が残念ながら交通事故で亡くなられています。人身事故の件数は、減ってきていて50年来で最も少ない状況になっていますが、死亡事故だけが多い。中でも高齢者の方が巻き込まれ、それが41人中31人と75%の割合になっています。
また、その高齢者31人のうちの14人は、歩行中に事故に巻き込まれ、なおかつ9人が夜間に交通事故に巻き込まれているという状況です。
これを踏まえまして、まず歩行者に向けては、反射材をできるだけ普及していく。毎年こういった努力をさせていただいていますが、なかなか県民の皆さん一人ひとりに届かないという状況がありますので、コンビニエンスストアといったところに置いていただく、または、お店の見える場所で反射材の販売をしていただく、こういうようなことを徹底していきたい。それによって反射材の着用の促進を図りたいと考えています。
交通死亡事故38件のうち、16件は第一当事者が高齢運転者ということがありますが、アクセルとブレーキの踏み間違いということをよく聞きます。こういうこともありまして、安全運転サポート車であるサポカーSワイドの購入を支援ということで、高齢者に対して2万円の助成をさせていただく。
また、事故の原因については、人口当たりで見ますと、福井県は残念ながら昨年、全国でワースト2ということでした。一般的には人口が多いところは、人口当たりに直すと交通死亡事故の数が少ないという傾向にあります。しかし、同じように人口が少ない県でも、福井県よりもかなり交通死亡事故の少ない県があります。どういうところに特徴があるのか、どうしたらいいのか、こういったことの調査研究も進めていきたいと考えています。
続いて、治安基盤の強化についてです。犯罪被害者等の支援の内容周知ということでは、犯罪被害者等支援条例が制定され、4月1日から施行されています。県として、例えばフォーラムの開催、リーフレットや施策集の作成など、被害に遭われた方に対する支援の内容を周知させていただきたいと考えています。
私からは以上です。
【県警本部長】
続きまして、警察本部関係の重点的な取り組みについて大きく4点ご説明をさせていただきたいと思います。
まず一つ目でございます。子ども、女性、高齢者を守る対策の推進というところです。先ほど知事からもご説明いただきましたとおり、子ども、女性に係る事案、未だ高水準で推移をしています。また、特殊詐欺に関しては、高齢者の方が多く被害に遭うという現状にございます。県民にアンケートをいたしましても、対策強化を求める声が大変多いというところです。
そこで新しいプログラムの中では、関係機関とも連携をした子ども、女性の安全確保。具体的には、声かけ事案などが発生したその状況の詳細を分析して公表する。部内外でこれを共有して警戒やパトロールに活用することなどを考えております。また、特殊詐欺に関しては、最新の手口を公表し、広報啓発などを進めていきたいと考えております。
二つ目でございます。犯罪の起きにくい社会の構築です。戦後最少を記録した刑法犯の認知件数ですが、治安上の課題はまだ存在しています。犯罪の起きにくい社会をつくる努力というものは継続していく必要があります。
また、アンケート調査を見ましても、地域の見守り活動に参加していただいている県民の方々は、やはり減少しています。また、防犯カメラについて、もっと設置して欲しいという声が多いというのが現状です。これらを踏まえまして、新しいプログラムの中では、パトロール活動や自主防犯活動の支援をさらに強化をしていきます。例えば情報発信によって防犯ボランティアの方々のモチベーションをさらに高めていこうということを考えています。また、今年から始めました防犯カメラのアドバイザー制度というのがございます。これをさらに強化していきまして、どういったところに防犯カメラをつけたら効果的なのかということの情報提供や助言をしていきたいと考えています。
三つ目が交通事故から県民を守る対策の推進です。交通事故死者数は、全国的にも下げどまりの傾向にあります。また当県でも、高齢者の死亡事故が多発をしています。県民のアンケートを見ましても、安全運転サポート車の普及、運転免許の自主返納の環境を充実してほしい、また、安全教育や指導取締りなどを強化してほしいといった声が多数寄せられています。
そこで新しいプログラムでは、運転免許の自主返納環境を充実していくことを明記しています。具体的には、安全運転相談に従事する者の質を向上、相談ダイヤルのさらなる周知を図っていきたいと考えております。高齢運転者の指導充実については、運転技能の自動評価システムを本格的に活用し、高齢者に対する安全指導を強化していきたいと考えてございます。また、テレビCMなどを使いまして歩行者の安全確保対策を進めていきたいと考えています。
四つ目は、治安基盤の強化です。安全安心を確保するために治安基盤を強化するということが前提になってきます。新しいプログラムにおきましても、警察安全相談の体制を充実すると明記させていただきました。相談従事者に対する研修を強化してその質の向上を図っていきたいと思っています。
また、犯罪被害者等支援条例に基づく生活支援金の給付などの公費負担制度を拡充していきたいと考えています。警察におきましても、先端技術の活用やデジタル化、例えば申請のオンライン化をさらに増やしていくということをさらに検討していきたいと考えています。
現下の治安情勢を踏まえまして、また近い将来の環境の変化にも対応できるように、県、公安委員会はもとより、県民の皆様方とよく協力をして、連携をして、福井県の安全安心を確保していきたいと考えています。
私からは以上でございます。
~質疑~(安全・安心ふくいプログラム)
【記者】
本部長にお伺いします。2年に1度プログラムを策定されているということで、改めて県民の安心安全の確保に向けて、意気込み等をお聞かせください。
【本部長】
知事からも冒頭説明がございましたが、当県の治安は、比較的良好に推移しているのだろうと思います。しかし、子どもや女性に係る事案、高齢者被害に係る事案は、高い水準で推移をしている。交通死亡事故に関しても手を抜いてはまずい状況だと思っています。やはり、改善すべき状況というのは未だにあるのだろうと思っています。
こういった中で、県民のアンケートもとらせていただいた結果、さらに治安を良くしてほしい、こういうことやってほしいという声もございました。県警としまして、知事部局、関係機関ともよく連携をして、県民の皆様方に安全安心をお届けするという使命を全うしてまいりたいと考えています。
〔配付資料:新型コロナウイルス感染症対策について〕
【知事】
続きまして、2点目は新型コロナウイルス感染症対策についてです。特に、これからゴールデンウィークに入りますので、県民の皆さんに特に留意をしていただきたい点に絞ってお話をさせていただきます。
まず本日、これまでのところ6名の方の感染が新たに確認されています。結果として、この1週間で16系統90人の方が感染をされています。入院患者は152名ということです。まず1週間の新規感染につきましては、ステージ3、県の緊急事態宣言レベルを下回ったというようなところですが、一方で入院患者については132名でステージ3、県の緊急事態宣言レベルをまだ超えているという状況にあります。
そういうことで、今の第四期、特に3月後半以降の特徴をまとめさせていただいています。大きく言いますと、若い年代にも広がっている、感染力が強い、発症までの期間が短い。これは特徴的だと思います。福井県での特徴をお話させていただくと、積極的疫学調査がスムーズにできている、感染経路が追えている。今でも3、4%だけが確認できないという水準にありますので、結果としてどういう経路で入ってきているかがよくわかっていることから、こういったことがわかってきたという状況です。
その中で、若い世代について、30歳未満はこれまで27.2%だったものが38.4%に上がった。これは、ほかに見ていただくと、10代以下が1割から2割に増えている。この影響がここにあらわれていると見られます。先般、国の感染症研究所のクラスター班と話をしましたが、子どもはもともとコロナの受容体が未発達の方が多い中で、今までは低かったのですが、今の変異株は、最近では福井県内でも9割を超えている。そういう変異株について、10代が増えたというよりは、普通に感染するようになってきた。そういうような状況なのではないかと考えられる。そういうことで、10代もしくは若い方々が増えていると言えるのだろうと思います。
強い感染力につきましては、第三期の状況で言いますと、約2割の方が新しい人にうつすというような状況でしたが、この最近の状況を見ますと、約3割の方が他の人にうつす。3.3人に1人がうつしていくということで感染力が上がっている。そして短い日数。発症までの期間がこれまでは4、5日でしたが、3日ぐらいに短くなっている。そういう意味では、対策を早くとる。もしくは、できるだけ早く病院に行っていただく。これが必要になっています。
重症化率の高さについては、国立感染症研究所が発表していますが、変異株の場合は5.5%。従来株は1.6%ということで、高くなっているということも言われています。病院の入院体制がしっかりと取れているかというところにも差があらわれているのかもしれませんが、数値としてあらわれているところがあろうかと思っています。
こういったことを受けまして、福井県といたしましては、さらに対策を強化していきたいと考えています。
一つはPCR検査。早期発見、早期治療の一番重要な、いつでもすぐに検査が行える体制にしていくということです。これまで、すでにPCR検査で948件、抗原検査で1日4,260件でしたが、これを、トータル1日で8,000件できるようにしていく。これまで一番多かったのが1日で1,046件ですので、そういう意味では十分な量を確保できるということです。
また、病床数につきましても、これまで265床であったものを今、医師会ともよく相談をさせていただいて、病院長会議でもお願いをいたしまして、近々295床まで広げられる。宿泊療養施設と合わせてトータルで410床を440床に拡大していきます。これまでの最大の入院者数は178人ということですが、軽症患者については宿泊療養施設をさらに活用するというような入院のローテーションの仕方も研究・検討しながら、通常の医療もしくはコロナの重症患者にできるだけ早く必要な治療ができるようにしていきたいと考えています。
先ほどのエビデンスをもとに申し上げさせていただきますと、最近皆さん方も目に触れられていらっしゃると思いますが、アメリカの疾病予防管理センターが発表した中で、感染の経路につきましては、いわゆるものの表面についたものをさわる接触感染、これによってかかるものというのは非常に副次的であって、飛沫などを直接浴びる、エアゾルを吸い込むということでの感染が非常に多いとされています。まさに私どもが、現場を見ていて感じている結果と非常に近いと考えています。
今申し上げた福井県の状況も踏まえて、ゴールデンウィークについては、まず、「おはなしはマスク」を徹底していただきたい。また県内でお過ごしをいただきたい。これをぜひ県民の皆さんにお願いをしたいと思っています。
「おはなしはマスク」の徹底については、会話をするとき、発話する、声を出す、このときにはマスクを必ずすることをお願いをしたいと思います。特にお話というのは相手があって成立します。どこかで大きい声を出して歌っているのとは違いますので、必ず相手がその近くにいるということが前提だと思います。そういうことからも、「おはなしはマスク」というのは、合理的な考え方だと思います。会話の際には必ずマスクを着用する。そして、飲食をするときには、マスク会食を 県民の皆さんにお願いをしたいと思っています。
また、屋外活動であっても会話の時のマスク着用をお願いします。バーベキューで感染された方、これもマスクなしで会話をしていたということが福井県の中で出ています。スポーツ活動でも、もちろん本当に苦しい瞬間にマスクするということは難しいと思いますが、とにかく落ち着いたら、少しでもすぐにマスクをつけていただく、こういうことを徹底していただきたいと思います。
次に、県内で過ごすということをぜひお願いしたいと思います。福井県の感染の拡大の仕方は現状において、今までの系統に属してないという方を調べていきますと、基本的には県外で感染をされて県内に持ち込まれる、もしくは県外の感染者が中に入ってこられてマスクなしの会食、もしくは会話をして、ご家庭内で感染をして、そこからクラスターが発生する。そういう意味では恐縮でございますが、人の移動、特に県境を越えた移動についてはどうしても自粛をお願いせざるをえない。そういうことで、ゴールデンウィークは県内でお過ごしをいただきたい。県外への帰省もしくは旅行も控えていただきたいということでございます。さらに、できるだけ来県を控えるように呼びかけていただきたいと思います。お子さん、会社関係、こういったことについては不要不急の場合は、来県しないようにお願いしていただきたいと思います。
一般的に旅行に来られる方については、これまでも感染が広がったという例は、もしかして起きているのかもしれませんが、基本的に感知はされていない状況でございます。基本的に考えますと、旅行者の方は、福井県民と接するときには他人同士ですのでマスクをした状態で接することがほとんどだと思います。そういう意味では、県外の人の一般的な旅行まで止めるといったことまではいたしません。
しかし、自分のお友達、家族では、少し想像していただければおわかりかと思いますが、やはりマスクを外して会話をしたり食事をしたりすることが増えると思います。恐縮でございますけれども、そういった点を十分に呼びかけもしていただきたいと思っています。
県内でお食事をされる際には、マスク会食推進店のステッカーがあります。国から推奨されておりますが、この感染防止対策を徹底していることの確認は福井県ではすでに終わっております。県内では3,000店舗、もしくは飲食店に限らず、理容美容など、マスクを外す可能性のあるような店舗4,200店舗について、この確認は終わっております。今回は、マスク会食推進店というものを一斉に広げていきます。
本日から、福井市内の繁華街、店舗を職員が巡回して、まずマスクを配らせていただく、声がけをさせていただく活動を始めさせていただきます。県民の皆さんにもぜひ、マスク会食の推進店をご利用いただくようにお願いをしたいと思います。ゴールデンウィーク中ですので、ご家族で食事を家の中でするということも多いと思います。マスク会食というものをまだ試された方はあまりいらっしゃらないかもしれませんので、こういうときにチャレンジしていただく。マスク会食チャレンジをこのゴールデンウィーク中にやっていただくといいと思います。
本当に少し意識すれば何でもない。例えば4人で会話する、飲食するときに懇談することを考えていただいても、1時間のうち15分以上、4分の1はお話をしている時間、聞いている時間になります。そういう意味では、マスク会食は、口にものを含んでいる間はマスクを外しているのでしょうが、話すときだけマスクをしっかりとする。そんな難しいことではありませんので、是非ともお願いしたいと思います。
もちろんここでマスクが汚れるということを言われる方もいらっしゃると思いますし、そうだと思います。できればそういうことは避けたほうがいい。その意味では、この紙マスクは非常によくできてまして、耳のところがよく伸びるので、私の経験から言うと、この紙マスクを使うとマスク会食はしやすい。後は先ほどCDCの結果で、手についたもの、もちろんついたと思ったら、できるだけ消毒も必要かと思いますが、この場合は、それほどの感染リスクになるわけではない。ですから、あまり神経質にならないで、それよりも飛沫感染を避ける、このことを推奨したいと思っています。
その上で観光客の皆さんに対しても、JRの主要駅、サービスエリア、道の駅、観光施設などで例えば、「おはなしはマスク」というポスターを貼らせていただく、もしくは「おはなしはマスク」ということの注意を喚起させていただく。またマスク会食推進店にはシールを貼っていただきますし、マスク会食を徹底しましょうというポップを卓上に置いていただく。こういった活動をこれから一斉に進めていきます。
県民の皆さんにはぜひ、このマスク会食推進店をご利用いただきたいと思いますし、5月13日まで県独自の緊急事態宣言を出させていただいております。状況の推移を見ながらと思っておりますが、5月14日以降は、GoToEatも今は発行を停止しておりますが、いずれ再開をしていきます。5月14日に再開できる環境になっていればと思いますが、そういう段階からは、GoToEatのプレミアム食事券を活用できるお店を、このマスク会食推進店に限定していく。マスク会食推進店でなければGoToEatのクーポンが使えない。そういう状況にしていこうと思っています。
今、少し不利益的なお話も申し上げましたが、全国的に、緊急事態宣言の地域を始めとして、いろいろな形で、社会の規制が広がっています。私どもが今のところ得ている知見、もしくは経験から言いますと、先ほど来申し上げている社会の活動を止めるということよりも、マスク会食、もしくは「おはなしはマスク」を徹底することの方が効果は大きいだろうと。それができるかどうかが非常に大きいと思います。
そういう意味で、私どもとしましては、マスクを使って会話をする、会食をする。こういうことに力を入れる、そういうことのインセンティブを高めていく。例えば、時短や休業ということがありますが、マスク会食推進店、マスク会食をしっかりとやるなら、それに対してはインセンティブを与えていく、認めていく。そのような方法も、今後もしかして福井県で感染が拡大したときにはとらせていただくかもしれません。そういうことにならないように、是非とも「おはなしはマスク」、もしくはマスク会食の徹底をお願いしたいと考えています。
福井県は、基本的にはこのマスク会食、「おはなしはマスク」を使いながら、できるだけ経済を止めないように、経済との両立を図っていきたいと考えています。
〔配付資料:福井県ドクターヘリの運航開始について〕
続きまして、福井県ドクターヘリの運航開始についてお話を申し上げます。
運航開始日は5月24日ということにさせていただきます。基地病院は福井県立病院ということになります。朝の8時半から日没まで、年末年始を限らず、365日運航をさせていただきます。荒天時には、運航ができないときはございます。 運用の範囲は福井県全域でございます。
ドクターヘリの役割については、いち早くお医者さんが、現場に行けるということで初期治療を始めることができる。そうすることで、救命率の向上、さらには、後遺症が残りにくい。そういうような効果があるということが期待されております。さらに、搬送時間も短縮ができます。広域災害などにも対応ができるということでして、関連する病院との連携、連絡の仕方、実際にランデブーポイントで疑似患者さんを移し替えるといった訓練をしてきましたので、5月24日から運航を開始したいと思っています。
時速200kmぐらいで飛びますので、時間的には高浜町25分、小浜市20分など、県立病院までの時間も短縮をされると期待しているところです。
あわせてこれまで行ってきました、滋賀から嶺南地域に飛んでいただく京滋ドクターヘリ、もしくは岐阜県から大野市和泉地区に飛んでいただく岐阜県ドクターヘリについては、継続していきたいと思っています。
ドクターヘリについては以上でございます。
次に、40年超運転が見込まれている美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働についての判断を申し上げます。
美浜3号機、高浜1、2号機については、昨年10月16日、資源エネルギー庁保坂長官から、40年超運転についての地元の理解と協力を求められました。その上で、2月12日は梶山経済産業大臣からも同様に理解と協力を求められたところです。
福井県においては、再稼働の判断に当たって、これまで続けてきた原子力行政の三原則、まずは「安全の確保」、「地域住民の理解と同意」、「地域の恒久的福祉の実現」、この福井県原子力行政三原則に基づいて、一つひとつ丁寧に確認してきました。
一つ目の「安全の確保」については、国内で初めての40年超運転となることから、県原子力安全専門委員会では、平成28年から5年にわたり、14回の審議と現地の調査を行い、例えば安全審査の状況や現場の工事の進捗など、実際の現場の状況を確認いただいてきました。
これについては、今月22日に県原子力安全専門委員会の鞍谷委員長から私に対し、原子炉の工学的な安全性の確保に必要となる対策については、ソフト・ハード両面から講じられているとの報告を受けています。これを受けて24日、私も美浜3号機、高浜1、2号機の視察をさせていただきました。
また、昨日は、関西電力の森本社長から、長年起動していなかった原子力発電所の再稼働でもあるので、通常求められている水準を超えて要員を置き、慎重に作業を進めていく、プラントの安全性を社長自らが先頭に立って確保していく、そういった覚悟、決意を確認したところであります。
もとより、安全性の追求に終わりはありません。引き続き、より高い、もしくは新しい知見に基づいて、高い水準を求めていく、継続して安全神話を生まないでやっていただく必要があり、また、国にはいろいろな形で説明いただいていますが、分かりにくい表現も多いことから、県民、国民にも安心していただくよう、分かりやすい説明を引き続き求めていきます。
また、万が一に備えた避難経路については、今年1月までに美浜・高浜両地域の広域避難計画の改定もしくは策定が終わっています。福井の両原子力発電所については、町内会単位での避難先が決まっており、複数の避難経路の確保がなされている状況です。また、新型コロナウイルス感染症対策についても講じられています。今後も、訓練を通じながら、さらに安全性、実効性を高めていきたいと考えています。
二つ目の「地域住民の理解と同意」については、今年2月1日に高浜町の野瀬町長、2月15日に美浜町の戸嶋町長から、再稼働に同意したことが伝えられました。また、県議会においても、2月議会、先週の全員協議会や臨時議会で議論をいただきました。その結果、県議会としては今月23日、一定の再稼働についての考えが示されました。
原子力の必要性、重要性、安全性については、一義的には国や事業者が説明責任を持っていますが、県としても県主催の説明会を開催し、私もいろいろな形で話を聞かせてもらいました。いろいろなやり取りも読ませてもらい、現場にも行きました。こういうことを繰り返させていただき、一定程度、県民の皆さんの理解も進んできたと考えています。
今後の課題は、県議会でも立地地域のことを消費地が批判をする構図を改めなければいけないとの話がありました。今後とも国、事業者には、原子力発電の必要性、重要性、安全性について、しっかりと県民、国民に対し分かりやすく、いろいろな形でやっていただきたいと考えています。
また、何より国の原子力政策が明確にならない中では、立地地域の住民はどちらに向かって、何のために私たちが志を持って協力しているのかが分からない。このことは再三再四、私は国に対して申し上げてきました。
これに対し、昨日、梶山経済産業大臣は、2050年カーボンニュートラル実現に向け、将来的にも原子力を持続的に活用すると言い切って表明された。
また、次期エネルギー基本計画についても、議論の中では、同じゼロエミッション電源の再生可能エネルギーを重点的にやってはどうかとの声がある中で、大臣からは、2030年度の目標数値をこれまでどおり、現状は6%だが、2割程度まで引き上げていくと明言されました。あわせて、2050年に向けて、原子力の将来像、あるいはその道筋を具体的に計画の中に書き込んでいくという意気込みを示していただきました。
国の方針は、今後、しっかりとエネルギー基本計画だけではなく、いろいろな形で全ての施策の中で明確にしていただく、前に進めていただく必要があり、エネルギー政策の責任者である梶山大臣からそういった話を伺えたことは、国としての一定の方向性が示されたものと考えています。
三つ目の「地域の恒久的福祉の実現」については、これまでも国の方針が変わって、廃炉が全国的にも、県内でも多くなった。こういう状況の中で、国として電源三法交付金の充実だけではなく、立地地域の振興、もしくは将来の姿をしっかりと示していただきたいと申し上げてきました。
これに対し、国は、40年超運転に当たっては、1サイト当たり25億円を最高とする新たな交付金を創設するとの話があり、また、立地地域の将来像を国、事業者、立地地域の三者で共有する、国が主催する立地地域の将来を考える「共創会議」の創設を明言いただいた。これは、経済産業省にとどまらず、関係する各省が一体となって取り組むとの話をいただきました。
さらには県で進めている嶺南Eコースト計画についても、推進組織を4月1日から敦賀に設けたところであり、県の仕事をするだけではなく、みんなで立地地域の将来を高めていく意味で、国、事業者も参画して、それぞれの仕事をするものができたところです。
さらに、経済産業省や文部科学省とは違いますが、国土交通省において、我々の長年の悲願であり、避難道路としても使える大事な道路である国道27号青葉トンネルについても、今回事業着手を認めていただいた。こうした形で、立地地域に対する恒久的福祉の実現も一定程度進んだと考えています。
こういった過程を踏まえ、私は、美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働について、本県の原子力行政三原則に照らしながら、県原子力安全専門委員会の慎重な審議、地元の美浜町、高浜町や県議会の意見、さらには国と事業者から示された内容を一つひとつ確認してきました。それを踏まえ、本日、これを総合的に勘案し、再稼働に同意することといたしました。
同意した内容について、梶山大臣には、今日の午後に、電話で伝えたいと思っています。
なお、今回の再稼働については、依然として県民の皆さんに不安の声があることは十分に承知しています。事業者に対しては、一層きめ細かな点検や安全対策、協力会社を含めたしっかりとした体制を敷いて、慎重かつ丁寧に、これから対応するよう求めたい。何よりも再開した後、安全神話に決して陥ることなく、徹底して安全運転を心がけていただきたい。安全最優先で進めていただきたい。私どもとして、国、事業者に対して常に確認を行っていきます。
県としても、燃料の装荷、原子炉起動、いろいろこれから重要なポイントが出てきます。責任をもって判断できる職員をその都度現場に派遣し、監視の強化をしていきます。小さな事象やトラブルも迅速に情報共有できるよう、国や事業者との情報連絡体制の充実を図っていきます。
県民の皆様の理解と協力をぜひともお願いいたします。
私からは以上です。
~質疑~
【記者】
今回の知事の再稼働の同意判断にあたっては、先ほど知事が説明されていたとおり、原子力行政の三原則に沿って、様々な判断要素があったと思います。その中で知事が判断するにあたって、最も重視した点はどこにあったのでしょうか。
【知事】
一番大きいのは、志という意味で、国が原子力発電をどうしていくのか、こういったことを明言していただくということがあると思います。それと共に、これは甲乙つけがたいと思っており、安全が第一、安全でないものは再稼働しない、こういう考えがまず基本にあります。これを立地地域、もしくは立地する福井県として守ることが、周辺の地域の皆さんにも、当然いい影響があるので、そういう周辺地域の理解を得るためにも、安全の確保、これを最優先で進めてきたつもりです。
【記者】
先ほど知事も言われていましたが、40年超原発の再稼働については、高経年化、また停止状態から約10年ぶりの運転になるということで、県民の不安の声も根強いと思います。知事自身は今回の同意判断にあたって、そのあたりの不安や懸念はなかったのでしょうか。
【知事】
もちろん私も、不安がないと言えば嘘になると思います。そのため、原子力安全専門委員会に対して、しっかりと慎重に、もちろん国の審査の過程なり内容の確認もそうですが、専門委員会の皆さんとしての考えも入れながら、安全確認をしていただきたいということを申し上げながらやってきたわけです。
これに対して、専門委員会からも、先ほども申し上げたとおり、原子炉の工学的な安全性については、ソフト・ハード両面から見て、安全対策は十分にできているというお話もいただいたところであり、そういう意味では安心しているところです。
【記者】
大臣に報告すると言っていましたが、関西電力に対しては何か報告はあるのでしょうか。
【知事】
内閣というのは、各省庁でできあがっています。そういう意味では、私は梶山大臣といろいろなやりとりをさせていただいていたので、梶山大臣、経済産業省から、必要なところには、関係各所はいろいろあるので、ご連絡をいただくのかと思っています。
【記者】
昨日の面談で、原子力政策の方向性については、百点満点ではないというお話があり、5月には共創会議の初会合があります。改めてそこで国に求めていきたいことを伺います。
【知事】
百点満点でないというのも、常に課題というものは出てくるわけで、一つひとつ解決していかなければならない、そういう意味で百点満点でないと申し上げました。一方でこうした立地地域の将来像を国が主催しながら考えていく、そういう計画を作る共創会議というものを作るということ自体は大きな前進だと私どもは思っています。
この国の会議の中では、昨日も関西電力の森本社長にも申し上げましたが、一つには、関西電力はパートナーとなって、主体となってやっていくが、最初に計画を作って終わりということではなく、ずっと将来を一緒に考えていく、これがとても大事だと思うし、また国におかれても、これは経済産業省もしくは文部科学省、こういった原子力を担っている役所だけではなくて、政府全体としてこういったものをしっかり担っていただけるような、そういった組織にしていただいた上で、議論も進めていただきたい。その上で、国は国として主体的に立地地域の将来像を描いていただきたいと思っています。
【記者】
中間貯蔵について、昨日森本社長からも、先頭に立ってやっていくとの話があったと思いますが、これから進捗状況をどう知事として確認していくのでしょうか。
【知事】
原子力発電を通じて、関西電力、もしくは事業者との間は常にコミュニケーションをとっています。またいろいろな形でポイントは出てくると思います。そういう時に、節目節目、日頃から関西電力に対しては中間貯蔵施設の県外立地計画地点の確定を急ぐようにと、こういうことを申し上げていきたいと思っています。
【記者】
25億円の交付金について伺います。30年超の時も大体5年で25億円だったと思いますが、まず、知事としては5年で25億円という認識でよろしいでしょうか。
【知事】
これは国の判断であり、特段私がどうということはないですが、今おっしゃられたように過去の例を見ても、それなりにご判断いただいたなと思っています。
【記者】
今回、30年超ではなく40年超という、更に大きな判断になると思いますが、それで25億円というのは知事として額はどういうご判断なのでしょうか。
【知事】
これは、これまでの例を見ても、しっかりとご判断いただいたと思っています。
【記者】
ある程度評価はできるということでしょうか。
【知事】
一定の評価をしているということだと思います。
【記者】
中間貯蔵施設について、改めて2023年度末の候補地確定を求めていくということも変わらないということでよろしいでしょうか。
【知事】
これは昨日もしっかりと確認させていただいたし、私からは社長が先頭に立つという意味を、しっかりともう一度社長としても考えながらやっていただきたいと申し上げたので、そういう意味では今後とも確認を続けていきたいと思います。
【記者】
かなり同意を急いでいる印象があるかと思いますが、なぜ今のタイミングでの同意となったのかを改めて教えていただければと思います。
【知事】
もともと昨年の10月の時点、それから2月12日に、経済産業省から現状の報告とそれから再稼働についての理解と協力を求められたわけです。
それから立地の両町が、非常に、これまでも志をもって困難を乗り越えながら原子力発電に協力をしてきた中で、大変、地域の経済が冷え切っている、一日も早く判断をしてほしいということで、同意の方向について求められたわけです。県議会についても2月の議会、そうした一定の環境が整ったところで、県議会に対して私として、議論を求めた。
その中でいろいろなやり取りをさせていただいているし、また結果としてもう少し状況が見えてきたらといいますか、国や事業者の取組み、こういったものをまとめて見せるようにと言われたので、4月6日に見ていただいたところです。それを受けて県議会では先週一週間かけて、様々な議論をしていただいたと思います。
こういった結果を受けて、これまでも申し上げてきたように、県議会の議論は、一つの方向に大きくまとまっていっている、まとまっているかどうかはともかく考え方としては示されたと思っています。あとは安全専門委員会、これはもう5年前からしっかりと安全性については確認をしていただいたとの結果も、先週の木曜日にいただいたし、避難計画についても、1月の段階で出されたわけです。そうすれば、あとは我々として確認すべきことをずっとやってきたわけであり、これはいたずらに延ばす必要はないだろうと。そして一つひとつの、最初から申し上げていた過程については丁寧に議論しながら進めてきたと考えています。
【記者】
関西電力から再稼働のスケジュール感というのはまだ示されていないのでしょうか。
【知事】
私どもはまだ聞いていません。今日まで少なくとも動くか動かないか分からない状況ですので、そういう意味ではこれからお考えになられていくのだろうと思っています。
【記者】
知事は今日、再稼働に同意したということで、40年超原発は今日がゴールでなくてこれから本格的なスタートだと思います。安全性は一義的に国や事業者が持つものですが、同意したということで県もその一翼を担うと思います。そのことについての思いと、今後県としてどのような監視体制をとるつもりでしょうか。
【知事】
もともと原子力発電については、規制庁や規制委員会など、そういった規制構成があって、それから事業者がいて、これの間で、稼働もしくは許可や認可は完結する、そういう中にあるわけです。そういう中で県が同意権を持っているのは、この中の県民益を最大化する、立地地域としての声を届ける、こういう意味で再稼働についての同意権を持っているのだろうと思います。
そういう意味で、今回県としても県民益を最大化するために、国や事業者に対して求め、なおかつ安全性の面でも国で認められている基準を超えて、例えばIAEAの外部評価などを受ける、それからこれまでの知見、海外の知見も蓄えて使っていこうと、こんなことも提案させていただいて、同意もいただいている。
そういう意味では、県の役割は、国と事業者との間で決まっている中身について、さらに県民に向けて安全性、私たちの目線としていろいろ確認をしていく、もしくは県民益を高めていく、そういうことだろうと思っています。
そういう意味では私どもは常に申し上げた県民益を最大化するということについて、県民に対して責任を持っているので、もしも危ない状況になれば、そういったものをすぐに止めていく。もしくは、常に国や事業者に対しての確認すべきことをしていく。これが私どもの責任だと思っています。
先ほど申し上げましたが、これから実際に再稼働になるというような時には、直接的な安全の面もあり、これは当然、事業者は国の基準を当然上回ってやるのですが、さらにその2倍ほどの人員等を割いたり、もしくは事前の総点検も独自にしっかりやる、いろいろな話がある。この上で、県民の目線で私どもはこの再稼働について、例えば、燃料装荷、起動など、こういうような時には責任ある職員を配置して安全性の私どもとしての確認、こういったことをさせていただくのだと思っています。
【記者】
危なければ止めるということですが、特に40年超は、全員協議会でも知事おっしゃっていましたが、これから新たな知見が出れば必要な処置を講じると、そのことについて具体的にどのようなことを考えられて、どのようなことを行いたいと考えているのでしょうか。
【知事】
これは新たな知見であるので、今想定されているもしものものがあれば、それはもう原子力規制委員会等が取り入れてないといけないと思います。その意味では、実際どういう知見があるのか、これは今私が想定できるわけではありません。しかし、40年超運転ということもあるので、特別な監視体制、これに県としてもしっかり加わっていくことは考えています。
【記者】
中間貯蔵施設の件について、昨日社長からも決意が示されて、国からも取組みが示されました。一方で、以前関西電力がむつ市の共同利用案を示して、知事は一定の評価をしたということがありました。県議会ではその評価を撤回するように求められましたが、今でもその評価は変わらないのか、それとも考えが変わってきたのでしょうか。
【知事】
大きく言えば状況は変わっていないので、撤回とかそういうことではないし、一定の評価をするということについては同様です。しかし、これは計画地点の提示という一つのことだけで言っているのではなくて、それに対して、その後の関西電力がもしも出来なかったとき、これについて、しっかりと例えば、美浜3号、高浜1、2号の運転をその間止めるというようなお話しや国がこれまで事業者の動きをしっかりサポートするような言い方だったものを、政策当事者として主体的に理解活動、最善を尽くすというようなお話を受けています。
こういったことを含めて、状況が整ってきているのだろうと思いますし、いずれにしても、2023年末までに計画地点を確定するという約束を守っていただくために、我々は必要な提言をしていこうと思っています。
【記者】
原発に対する国民理解について、先ほど県の説明会などを実施して、一定程度理解が進んでいるというような発言がありましたが、実際今、県庁の前では抗議の声を上げている方々がいる中で、一定程度進んだという感触を得た根拠、どこから手ごたえを感じているのでしょうか。
また、まだ理解促進は足りないと思いますが、改めて県としては今後どのように対応していくのでしょうか。
【知事】
もちろんこれは民主主義の世界なので、いろいろなことを決めるときにはいろいろな声がある、そういうことはよく理解しています。先ほども申し上げましたが、必ずしも皆さん全てに安心に思っていただけているというわけではないということも理解をしています。一方で、県議会の議論、それから立地地域の町民の意見を首長が吸い上げてお話をいただいています。
それから私どもは、年に4回ですが、原子力環境安全管理協議会でいろいろな事業者の方やステークホルダーの方々にお話を聞かせていただいている。こういった活動をいろいろな形でさせていただいている中で県議会も最終的には一定程度再稼働に向けての理解をいただけた、そういう考え方が示されたと思っているので、私は先ほど申し上げたようになったところです。
いずれにせよ、県民、国民の理解活動というものは本当に重要だと思います。これも私が途中で社長にも申し上げていたので今回も示されていますが、やりましたではなくて、もしくはとても深いフォーラムができましたという形で、これまではいずれかというと理解活動を進めてきた、もしくはもちろんいろいろな現場に入って説明会も開いていますが、ともするとわかりにくい、そういうところもあると思います。
こういったことをしっかりと事業者に対して、もしくは国に対しても、国の規制の方も同じ状況になっていると思います。わかりにくいと安全なのかどうか不安になります。こういったことを不安にならないで済むような、わかりやすい説明ということも、多少正確性を足りない部分があったとしても大きく間違わなければ、少し言葉が足りていないが、ということを補いながらやる方が、私は国民理解が進むと考えています。
【記者】
最初に、40年超運転が国内初の再稼働となる、そのいわばゴーサインを出されるというようなお立場に今いらっしゃるのかと思うが、そこについての責任というものをどう感じているのでしょうか。
【知事】
私はもともと原子力発電というものは法律の規定があって、事業者が国の規制を受けながら、国の管理監督、監査や検査などを受けながら運転をしていく、そういうもので完結していると思います。その中に福井県民を代表して、私どもは県民益を最大化する、もしくは県民にとって不利益なことが起きないようにというようなことを考えて、そこに同意権というものをもって参加をしている。
そういう意味では私どもの責任は、県民に対して県民益を最大化する、こういう作業だろうと思っています。その意味で先ほども申し上げましたが、原子力行政の三原則を十分に果たす、これを果たしてきたし、また、私どもの責任は国や事業者、これが安全に運転をしていく、もしくは地域の振興、地域との共生、こういったものをしっかりと行っていくということを常に確認をしていく、監視していくことが私どもの仕事、責任だと考えています。
【記者】
中間貯蔵施設について、節目なので改めてお尋ねしますが、本来もともと原子力発電所というものは使用済核燃料の持っていく先が決まった上で作られるのが本来あるべき姿だと思います。知事が昨年10月に、前提であるとおっしゃったということはある意味非常に筋の通った話だと受け止めた方が多いと思います。
それが結果的に切り離すということになり、今現時点でもその話が進んできているということですが、そこでやはり本来こういう同意のタイミングで本来の姿、筋を通すことを貫くべきだったのかというお考えはないのでしょうか。
【知事】
質問が少しはしょられているのではないかという印象を持ちます。私が申しあげたのは、中間貯蔵施設の県外立地地点の計画地点の提示については事前に求めていく必要があるということを申し上げました。それについては先ほどのご質問にもあったのでお答えをしましたが、そのこと自体では、一点ではなかなか満足いく内容ではなかったかもしれませんが、関西電力としての計画地点確定に向けての覚悟、それから国として主体的に取り組む、そういったことを勘案して、前提としていたことについては一定の状況になったのではないかということで40年超運転の議論に入らせていただきました。 その上で中間貯蔵の話は当然これからもしていくので、これは今回の議論の中でも同時並行であるし、今後も引き続きやっていきますが、当然のことながら確認、それから提言をしていくというところです。
【記者】
しかし、2月に大臣などと面談した時に関西電力がむつ市という名前を出しました。これが選択肢の一つとして出されて、これは知事が議論を始める一つの大きな要素になったと思いますが、昨日の時点でむつ市という名前は一切出ませんでした。これは客観的にみると、状況が後退しているのではないかと受け止められると思いますが、そうすると議論を始めるという判断をした時よりも後退している中で今同意するというのはどうなのかと感じている県民は多いのではないかと思うがいかがでしょうか。
【知事】
中間貯蔵施設の問題は相手のあるお話です。もっと言うと、日ごろから私は申し上げていますが、原子力にかかわる立地地域はいろいろな不安や課題を抱えている、こういったことを国が一つひとつ解決していかなければいけないと思っています。私どもが求めているのは、2023年末に計画地点を確定することですので、その階段の上がり方というのは相手もあることなので、やり方はいろいろあるのだと思う。
そういったことに対しては、国も関西電力もとにかく前に出てやっていくということなので、私どもとしては今回この再稼働の判断の時に全く考慮していないというわけではもちろんありません。こういったことも含めて総合的に勘案して今回の再稼働の判断をさせていただきました。
【記者】
状況は後退しているという認識はないということでしょうか。
【知事】
それは一つひとつの事象のことの評価については私から申し上げることではないと思います。全体としては2023年末までに計画地点を確定するという作業の、今の状況なのだろうと理解をしています。
【記者】
昨日のお二方との面談でも、決意や覚悟であるなど、精神論的な部分で強調されていて、知事もそれを評価しているように受け止めます。そういうものは非常に危うい気がしますがいかがでしょうか。
【知事】
とても大切なのではないでしょうか。責任者の方がそこで決意を述べるということは一つひとつの、私は逆に言うといつも思っているのは数字を挙げてきたり、いろいろ言われますが、その数字そのものが次にどうつながるのか、もしくはどんな方向に行こうとしているのかということを、しっかりと責任者の方がお腹にもってしっかりとやっていただくということはとても大事なことだと。
もちろん一つひとつの数字の分析は必要です。昨日も社長に申し上げたのは、先頭に立つという意味をよく考えてくださいと申し上げたわけで、そういう意味では私としては責任者のある意味決意、こういうことは聞かせていただけたと思っています。
【記者】
そもそも40年ルールというのができ、延長に関しては例外的な措置であるという位置づけだったと思いますが、知事は今回の延長というものは例外的な措置という認識でいるのでしょうか。今後この40年超というものがこの3基に続いて出てくる可能性もあるわけですが、そのご認識はいかがでしょうか。
【知事】
制度の仕組みそのものは例外なのかどうか、そういうふうに言われています。例外というのか、まず40年という基準があって、そこを超えるというときには1回限り特別な許可を得るという規定がある。例外と書いてあったのか、私は条文のつくりまではわからないので、そこのところの評価については私からは申し上げません。
しかし、40年超運転については特別な規定があって、それから特別な点検があって、慎重に運転していくという考え方が基本にあるだろうと思っているので、私どもも慎重にこれまで手順を踏んできたと考えています。
【記者】
県民への説明として聞かせていただきたい。県民益を最大にするという判断ということは先ほどおっしゃっていたが、原発の運転延長は福井県のためにどのように必要と考えたのでしょうか。
【知事】
大きいのは恒久的福祉の実現ということになるのだろうと思います。他の2つ、安全性は最優先という話であるし、同意のところは手順のところを大きく言うと指しているのかと思います。
恒久的福祉の増進という意味で言えば、まずは昭和30年代から、福井県は原子力誘致から始まって、一つひとつ建設がされていった。その中で、職、仕事、働く場を生んでいくという事もあっただろうし、原子力発電所を取り巻くいろいろな物の流れ、人の流れで経済が活性化していく。こういう事もあったと思います。
こうした基盤となる原子力発電所が運転されることによっていろいろな効果があるという部分が一つ。それから、原子力発電所を誘致し、安全に運転を行うことで、国としての地域振興、こういったものに力を入れる。お金だけでなくて、いろいろな形で様々な施策についてもそういったことを反映していく。こういった事もあります。
こういった中で、そういう事が大きく、恒久的福祉の実現という中の要素だと思います。
【記者】
それを最大60年まで、20年近く続けていった方が良いという判断だったのでしょうか。
【知事】
先ほどから申し上げているとおり、40年、60年、もしくはどこでどういう検査をするか、安全の確認をするなど、これは全て国の法律もしくは事業者との間の許認可で決まっていることであるので、そのことについては、我々は基本的にはそういった許可が出たものについて、県民益という立場から確認をさせていただくという作業だろうと思っています。
【記者】
今回20年運転延長すると、現況のルールでは60年に廃炉になるという事が決まっています。知事、立地地域はどのような将来像をそういう時期に向けて描いていくと思われているのでしょうか。
【知事】
これは、一つには嶺南Eコースト計画を県としては作らせていただいているし、また、国が主体となって作る共創会議の中でも、国、関西電力が当事者として、主体となって、新しいことを考えていただく。こういう事も望んでいますが、まず、第一に私どもが申し上げているのは、やはりEコースト計画に書いてある、原子力で言えばリサイクルビジネス、こういったものを進めていく、もしくはもんじゅの後継の新型の研究炉、研究開発炉、これについて、ここの中に研究者が集まってくるだけではなくて、それを利用する事業者、こういったものも誘致していく。
これについても、今回、梶山大臣が、積極的に協力していくと言っていただいている。それから、農林水産業のスマート化、こういった事も進めるし、生活の分野でも、せっかくエネルギー主体の地域ですので、スマートタウン、それから、エリア全体をスマート化していく、こういった事にも力を入れていく必要があると思っています。
それを実現する上でも、現在の40年超運転ということではないが、志を持って福井県が、もしくは立地地域が今まで取り組んできたことをこれからも続けるという事には意義があると思っています。
【記者】
今回知事としては、初めての原発の再稼働に伴う、大きな原子力の判断だと思います。今どのような心境なのでしょうか。
【知事】
私は副知事の時も原子力の再稼働のことはやらせていただいたが、やはり知事になると、更に責任の重さということを感じています。
これは、再稼働を同意するという今日のこの一点に対して非常に責任感を感じているというよりは、やはり私としては、原子力という事を一つの県の政策としてこれまでも進めてきているわけです。国ももちろん原子力政策に同意をして、それに貢献するという形でやっているわけでありますが、もしくは、関西地域をはじめとした国民の安心・安定した生活を守る、こういった志をもって福井県は原子力の一翼を担っていると思っています。
こういう事をしっかりと、安全を保たないと、それは守れないので、国や事業者が行う活動、こういったものをしっかりと監視、もしくはいつも見ておかなければいけないと改めて決意をしていくという事であります。
【記者】
再稼働に関する県の責任はどうなるのかという点について、これまでの定例会見でもお尋ねしていますが、知事は先ほど完結しているという言葉を使われて、安全性などは国と事業者の方であって、県は県民益を最大限にしているということで責任があるとおっしゃっていると理解しています。
そうすると原発の安全性や事故が起きた時について、県では責任はないと先ほどはっきりおっしゃられたとの理解なのでしょうか。それとも、先日はその場その場の判断があるともおっしゃっていましたが、ないということなのか、その場の判断なのでしょうか。
【知事】
以前質問いただいたことを含めての質問ですと、前回お答えしたのは、いろいろな事故はどういう形で起こるか分からないので、別のところで何が原因で、いろいろな事が発端としてあり得るので、一つひとつの責任は、最後は状況を見て判断をしなければならない、ということがあり得るということを申し上げました。
基本的な責任論ということであれば、先ほど申し上げたとおりで、法律の中に地元の同意などがある訳ではない。その最大の理由はその中で完結しているから、と大きく言えば理解しています。その上で、県民益はそうした安全性のプラスアルファの部分のところを県民に対して何とかお応えしなければいけない、それが地域振興の部分をはじめとして県民に対してお応えしていることだと思っています。
【記者】
安全性については国と事業者が一義的にということだが、県では知事も冒頭に説明されたように安全専門委員会の判断を踏まえてという言い回しをしていて安全性を評価していますが、そうすると県も安全性を評価して、法律にはないとしても強い実質的な効力を持つものを発揮されるということで責任の一部はあるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
【知事】
県の安全専門委員会がやっているのは、国の規制をさらに県民目線でしっかり監視する、落ち度がないかをもう一度確認するということ。プラスアルファで、法律どおりでよければ家の周りの安全をそのままにしておくのか、いろいろなカメラをつけたりするのか、そうしたことはご家庭でも考えると思います。それは国の基準が間違っていることがもしあれば、声を発するということがもちろんあってしかるべきだと思います。福井県は県民の皆さまのために、国もしくは事業者が許認可を得て進めていることを、自分の立場でそれを見ながら足りないところを提言してより安全性を高めていくという活動をしている。しかし、一義的な安全性は、国と事業者が果たしていくと思っています。
【記者】
あくまで県の評価としては付随的なものであるから、ということでしょうか。
【知事】
県にとってプラスアルファとなるところを私どもとして、県民に対して県民益という意味で責任を果たしていくということです。
【記者】
知事はこれまで例えば議会などで、中間貯蔵と40年超運転はそれぞれ別の問題で分けて考えると発信されているが、そもそもなぜこの2つは別の問題と考えているのでしょうか。
【知事】
大きく言えば原子力政策の問題なので別ということはありません。しかし、40年超運転の議論を、地元からも再稼働の同意を求められ、県議会からも一定程度前向きな方向性が出された中で、中間貯蔵の問題は大きく言って枝分かれした中の原子力政策の1つかもしれないが、今ここで40年超運転のことを考えて決める段階で、全てのことを決せなければならないのか、という意味で別に考えようということを申し上げている訳で、当然、中間貯蔵の話は今後も別途我々としてしっかり申し上げていくつもりです。
【記者】
我々の報道では、関西電力の方が5~9年で使用済燃料のプールが一杯になる、かなりひっ迫しているという状況で、実際に関西電力もいろいろ奔走しているというのが現状と思います。40年超運転により使用済核燃料が増えるわけですが、今回のこの問題に関しては、ほぼ同一の問題とは捉えないのでしょうか。
【知事】
そういうお考えの方がいらっしゃることを私は否定しませんが、使用済燃料の問題を解決するのは事業者であり国だと思います。工程管理を含めて国として官民連携の体制をつくるというお話もあった。そういうことを進めていだたくのだろうと思っています。
【記者】
先ほど質問に答える形で、関西電力の社長や国が中間貯蔵に対して覚悟や決意を示しそれがとても大事だとおっしゃいました。確かにトップにいる方の決意や覚悟を表明することは重要な部分ですが、私たちが問題と思うことは、決意や覚悟に対して中身が伴っていないということがあります。例えば、かんばります、と言ってそれが決意だとしたら、どのようにがんばるかと聞くことが通常だと思います。
関西電力の場合は、決意や覚悟を示した後に、県に2月の段階ではむつ市の中間貯蔵施設の共同利用案や他の方法も引き続き検討してとおっしゃって、がんばると方針を示しています。しかしそれは現段階ではっきり言って全く動いていない、内容がない中で、言葉だけが存在しているということは、それこそ2023年末までに果たせるのかどうかということにも不安を呼ぶという意味で、これでいいのかと思いますがいかがでしょうか。
【知事】
昨日も森本社長は体制を強化して、内部でもいろいろな体制を組みながらやっているとの話はありました。おっしゃるとおり表に向かってどこまで今どれだけ動いたのかということは大きく説明できている状況ではないと感じました。これから社長がその決意をしっかり示す必要があると思うし、社長のおっしゃる決意の一つの現れが、2023年末までに計画地点が確定しなければ、美浜3号機、高浜1、2号機を止めるとおっしゃっている。これは一つの覚悟であり決して絵空事ではないと私は認識をしています。
【記者】
国および関西電力が今回いろいろな約束をしたと思います。中間貯蔵、エネルギー基本計画、共創会議だと思うが、実際に実現してくるのはしばらく先のことになると思うが、それまで福井県としては国や事業者にその約束をどう守らせていくのか、もしくは反故にされたときにどう対応していくのか、見通しを教えてください。
【知事】
反故にされたときの話は想定していないが、私は総合資源エネルギー調査会の委員もしています。例えば、エネルギー基本計画の策定の過程についても、今日も夕方に参加させていただくが、そういうところで常々私から発信させていただいて、いろいろな委員の方にご賛同いただいて、それが現実にいろいろな資料もしくは報告書の形で取りまとまっています。
こういう所で私としてできる仕事が一つあると思うし、通常からコミュニケーションを国とも関西電力ともとっているので、その進捗状況によっては、どんな形かはまだわからないが、何がどうなっているかを考えないといけないので、いろいろな形で、監視もあれば、相手方の動きを提言するなど、いろいろな形をとっていきたいと思っています。
【記者】
過去には関西電力や国とした約束が守られなかったことがあったのではないかと思います。今、反故にされることは想定されていないと言われましたが、昨日、森本社長の面談の際に空手形という言葉を使っていたと思います。実現しなかった場合の県としての対応を聞かせてください。
【知事】
あるかないかと言えば、あり得るという意味ではあると思います。空手形にならないようにということで、昨日も申し上げたわけで、当然そのときにはいろいろな形で相手方に対して、その内容に応じて私どもとしてすべきことをやらせていただくということです。
【記者】
先ほど中間貯蔵の話や、関西電力は今回こそは約束を守れるのかという話が出ています。過去の実績を見ても守れた方が少ないのではないかと思います。あと2年という短い期限ですが、何か県の方から積極的に中間期限のようなものを設けて働きかけていくというようなことをして、今回こそは約束を守ってもらうような考えはないでしょうか。
【知事】
中間期限というものは、そういう意味では計画地点の提示ということだったと思います。これはもう決定であるので、計画地点を決定する相手方と合意して、そういうものを公にできる状況にしてくるということだろうと思いますが、そういったことを今回はもうやっていただくしかないのだと思います。それについて、もしできなかったときの措置についてももうすでに社長から示されているわけであり、相手方もやるしかないのではないかと私は思っています。
【記者】
改めてこの40年超の原発だと、やはり老朽化していないかということが一つ今までと違う問題だと思うが、今回、安全だと判断したポイントはどこにあったのでしょうか。
【知事】
もちろん今回、原子力規制委員会の特別な点検も踏まえている。私も現場を拝見させていただいて、コンクリートをくりぬいてそれを全部調べたことや格納容器内の鋼板のところに錆がないかというのをずっと全部点検してやっているという話があります。
世界的に見ると、原子力発電所は438基稼動されていると思います。その中で40年超の運転をすでにしているところが95基あるのだろうと思います。40年超の許可を取っているという意味では、許可制を敷いているのは私どもが把握している限りは日本とアメリカかと思います。その中でアメリカでは94基の原子力発電所がある中で86基、これは40年超についての許可を得ていて、なおかつ、45基程度は実際に動いているという状況にあろうかと思っています。
そのようなことも一つあって、なおかつ私も、これは本当に一県民的なレベルの発想としても、いろいろな大きな部品を含めて取替えをする、または今回40年に向けて、乾式で例えばタービンなども維持するような方法など、こういうものも世界的に見ても非常に進んでいるという話も伺い、事実のようです。
こういったことをいろいろ確認させていただいて、安全専門委員会の報告書があっての上ですが、私個人の感想として言えば、40年超運転に向けての様々な取組みもしくはその水準にはあるのかと感じたところです。
【記者】
この問題、特に県民には、車や家の家電などとは違って、全く安全なのか確認のしようがない問題であり、わからないまま知事に判断をゆだねて、命に関わるものをゆだねて知事が判断を出したということになるかと思う。そのあたりの説明責任はやはり重いかと思いますが、どう応えていくと考えているのでしょうか。
【知事】
これはもう原子力規制委員会が説明責任を果たすのだと思います。許認可を出しているのは原子力規制委員会であるので、そうだと思う。
先程来ずっと申し上げていますが、私どもは県民の目線として県民益を最大化するという観点からもう一度やっていることの確認をさせていただいている立場だと思っています。不安に思うということ自体がある意味、原子力規制庁、原子力規制委員会が国民への説明責任が足りないのだと思う。
日頃からも申し上げているが、今後とも国に対してもっとわかりやすく、私も説明会に出たが、もちろん質問が専門的だったから専門的な答えになったのだと思いますが、とはいえ、普通に聞いていてわかるような説明でもないなと思いました。そういうところは改めていただく、こういうことは国にも事業者に対しても今後とも求めていきたいと思っています。
【記者】
今回40年超の結論としてこの3基が出ましたが、高浜3、4号機も3年、4年のうちには次の40年を超えるかという課題になってきます。今のところは何か将来のビジョンはあるのでしょうか。
【知事】
どういう形になっていくのか、その推移を見ながら、必要な措置を今後とも取っていくということを思っています。
【記者】
責任の部分について、県民益を最大限に引き上げるための同意ということですが、仮に事故があれば県民は被災者になって、隣接府県にも影響が出てきます。それを踏まえて知事の今回の同意の責任について改めてお聞かせください。
【知事】
一義的には国、事業者が責任をとるということだと思います。それから結果として今やっている規制基準に対してさらにプラスアルファのところを県民にとってさらに安心ができる材料として提供できるような提案をさせていただきたい。結果として立地地域が、安全度が高まるのであれば周辺にもいい影響があるだろう、そういう意味で反射効果として安全性をより安心な状況に置くことが、県民益だと思っています。そういう目で安全専門委員会含めて、私も現場で確認をさせていただくということだと思います。
【記者】
事故があった場合の想定は特にされていないということでしょうか。
【知事】
国、事業者が一義的にどうするのかお考えいただくことですし、現実に当然やっておられると私は見ています。
【記者】
運転開始から40年超の原発の再稼働に同意されましたが、一方で60年を迎えると止まるということになって、いずれ原子力発電がなくなっていくという傾向にあると思います。昨日大臣から原子力の政策の方向性について説明があったと思いますが、知事として、新増設・リプレースについての考えはどうでしょうか。
【知事】
60年を超えてくると原子力発電所は、今の法律の制度であれば止まるということはそのとおりで、そういう意味で立地地域の側からいえば、共創会議というものを作って地域の将来像を明らかにしてほしい。
もう一つ、原子力をどうしていくのか、原子力の立地地域のリプレースや新増設は、直接は国の原子力政策そのものであり、国にしっかりと方針を示してほしいと常々申し上げています。
しかし内容的に、立地地域で一番大事なことは、安全性をいかに高めていくか、それに尽きてくると思っています。そういうことを国に対して今後とも求め続けていきたいと思います。
【記者】
現時点で新増設・リプレースについて、特にお考えはないということでしょうか。
【知事】
それについて国が方針を示さないと立地地域は、これからどうなるのか大きな方針は必ずしも持てない。国が完全に想定した水準はないが、2050年になると、国が想定している程度の原子力の発電量が賄えなくなるのは明らかな状況だと思うので、その先を見せることが、我々がどうするかはともかくとして、次に何をしたらいいのかということを考える状況が必要だと思います。
【記者】
知事が同意の前の段階で、関西電力が2023年末に中間貯蔵施設が見つからなかったら原発を止めると。これはまるで再稼働をしていることが前提のような話になっていて話の順番が違うと思うが、知事はどう思われていたのでしょうか。
【知事】
これは、再稼働していても、ということだと思いました。
【記者】
知事の同意表明前の段階でこういう前提というのはどうなのか、という疑問がありました。
【知事】
これは事業者であるので、当然いろいろなものはできるだけ動かそうという判断があるのだろうと思います。仮に動いていたとしても、というような前提は頭の中に持っているのだろうとは感じました。
【記者】
知事は、国や関西電力の決意や覚悟みたいなところを評価して同意表明に至ったということでしょうか。
【知事】
それだけではありません。
【記者】
大きく評価してということだと。
【知事】
それもあるということです。
【記者】
中間貯蔵が長年にわたって決まらなかったという実態があると思います。それに対して決意・覚悟みたいな実体のないものを評価して同意に至るということに対し、知事に不安はなかったのでしょうか。
【知事】
だからこそ、決意を求めたというところはあると思います。しかし、これについては、国も当事者として主体的にやっていくという、国としての責任も今回明らかになりました。関西電力も、あらゆる検討を行うというお話もあった上で、社長が先頭に立ってやっていくというようなお話があった。現状において、こういった決意を言われたと考えて、この件については今回のこの時点においては良としたということです。
【記者】
中間貯蔵施設について、昨日、大臣から推進協議会を近く開いて、官民で工程管理など決めていきたいというご発言がありました。相手があることなので、難しいことだと思いますが、国民の原子力理解につなげるためにも一定のある程度透明性というか、公開された議論が必要かなと思います。そのあたり知事はどういうご所見でしょうか。
【知事】
これは大臣がおっしゃっているものの仕組みがどうなっているかよく分からない、官民連携の仕組みを作ることをその協議会で何か決めるような話だったかと思うので、その後どのように公開するかということはよく分からない。基本的には説明責任をしっかり果たしていただく必要があるかと思います。
ただセンシティブな内容はもちろん含んでいると思うので、全部オープンにできるかというのは議論される内容によると思っています。
【記者】
今回、どうしても40年超ということで、全国的にも注目が集まっていると思います。知事の個人的なご所見でいいが、高経年化への不安とか懸念がもしあればお願いします。
【知事】
これは一般的なお話として申し上げれば、古くなるとやはり壊れやすいのではないかなど、こういうお話は不安として漠然には感じられるということは当然あると思います。
そのために、原子力規制委員会があり、規制庁があって、しっかりとした基準を作って、これに対して検査を行い、許認可を行う、こういう仕組みが整っていて、その水準については世界最高水準だと一般的に言われていると思っています。
これはリスクをゼロにできないというような言い方をいつも原子力規制委員会や規制庁が言うので、不安を煽る部分もありますが、とはいえリスクをゼロにできないということは何事においてもそうだと思う中では、最小化、極小化されているのだろうと。しかし、これは常日頃から原子力規制委員会も言っていますが、100%という安全性はないけれど、ただより高い安全性を求めて、これからも活動していく、そういうようなことを言われている。
そういったことを現状の水準は世界最高水準だろうし、それからそれをさらに安住することなく、安全神話に陥いることなくやっていくということについてはそれなりに信用してもいいのではないかと個人的には思っています。
【記者】
知事は一番冒頭に説明されたときに、依然として県民の皆さんに不安の声があることは十分に承知をされておられるので、事業者に対しては安全対策をこまめに求めていきたいとおっしゃられましたが、知事は依然として県民が感じられている不安の声として受け止めているのは、そうした40年超の、いわゆる老朽化、高経年化は大丈夫なのかといったもの、例えば避難の整備など、どういったものが不安の声としてあると考えられるのでしょうか。
【知事】
この辺はいろいろあると思います。今日、外でいろいろ発言されている方もいらっしゃるというお話がありましたが、いろいろな声があると思います。
私は先日の県民説明会で聞いた中、主なご意見であったのは基準地震動の作り方、それが前提となっている考え方が正しいのかということと、避難のお話、これについての実効性というものが主な意見でしたが、それ以外も不安の声があったので、それがいろいろな形であるものと思っています。
【記者】
中間貯蔵の問題で、2023年末までに関西電力が確定させると県に約束しています。それができなかったら止めると知事にこちらの方も約束だとおっしゃられています。ある意味、約束が守られなかったら止めるのは当然だと思わなくもありませんが、仮に関西電力がこの約束が守れなかった時に、県として法的に訴えるということも視野の中に入るのでしょうか。
【知事】
これは今のところ少なくとも守られないということを前提にしていませんし、また、覚悟は示されているので、そういう中で関西電力は国とともに最善を尽くされると考えています。
【記者】
今のところそういうお考えはないのでしょうか。
【知事】
今はそういうことを前提にした議論を考えているところではありません。
【記者】
今後の課題として、立地地域を消費地が非難、批判することがあってはいけないとおっしゃっていましたが、現実問題としてどういうところからどういう批判、非難が出ていると認識されているのでしょうか。
【知事】
具体的に私がこの人がこう言っていましたということを考えて申し上げているのではなくて、いろいろな形で原子力発電について、例えばいろいろなアンケートをとっても動かすべきではないという方が消費地域でも非常に多い。こういったようなことがあっていろいろなことを立地の方々は言われるということがあるとお話も聞いています。
そういう意味で、理解活動はしっかり進んでいないと、一般的には原子力の必要性があまり感じない、もしくは立地が動かすからどうだというような発想になりがちだと思っています。
先ほど申し上げたように、これは事業者と国との間で、動かす、動かさないということが法律上決められていく、その中に我々は県民との間でいろいろなやり取りはするけれども、そういったところをしっかりと国、事業者として理解活動をやっていただかないと立地地域の志も大変傷つくだろうということを申し上げています。
【記者】
新型コロナウイルス関連でお聞きします。緊急事態宣言後、取材をしていますと飲食業、観光業で予約のキャンセルや客足が急激に落ちているという声もあります。休業要請や時短要請をしている状況ではありませんが、実質開店休業となっている事業者も多いということです。緊急事態宣言と補償金、協力金をセットとしてほしいという声も聞くのですが、知事のお考えをお聞かせください。
【知事】
全国的な傾向としても、旅行や飲食店関係も客足が落ちているのだろうと思います。そういう中で、福井県はGoToEatやふくいdeお得キャンペーンの新規発行は止めていますが、利用についてはGoToEatのマスク会食推進店を使ってという推奨程度で、一般の利用を止めているわけではありません。そういう意味では、感染拡大防止と経済対策の両立を図りたいと思っています。ぜひとも県民の皆さんには、「おはなしはマスク」を徹底していただく、県境を越える往来を控えていただくことを実践していただいて、マスク会食を実施すれば、飲食もそんなに危険ではないとお考えいただいて、十分な感染対策をとりながら、経済活動を回しながらやっていただくことがよいかと考えています。
県でも2月補正予算で県版持続化給付金の受付を4月16日からはじめさせていただいています。これは一昨年から昨年にかけて収入が1割減っている方、幅広く対象になっていると思いますので、ご利用いただきたいと思います。
また、国は新しい事業者向けの地方創生臨時交付金を予算化しています。これについても、できるだけ幅広く使えるようにと、国に対して、例えば、マスク会食をしたらインセンティブが与えられるようなことにも使えるようにする。何かがなくなったから穴埋めをするという発想が今までの補償という形になります。先手を打ってあって、その後の経済の下がり方を止めることにも使えるようにすることが、逆にいうと社会全体のコロナの感染を止めるということではないかということも申し上げています。この交付金を使って、私どもも事業を引き続き検討していきたいと思っています。
―― 了 ――
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