知事記者会見の概要(令和3年2月12日(金))
令和3年2月12日(金曜日)
10:30~12:00
県庁 大会議室
〔配付資料:新型コロナウイルス感染症対策について〕
【知事】
今日は、2点申し上げます。
まず、新型コロナウイルス感染症対策については、現在発令中の感染拡大警報を注意報に引き下げます。現状は、この1週間での感染者は新規の2系統で9名、利用病床は29床です。1週間前では、新規が2系統で10名が感染されました。病床も大分落ち着いてきています。まだ、注意報レベルということ、国全体では緊急事態宣言が出されており、その影響もあり得るということで、2月15日月曜日から28日日曜日までの2週間を感染拡大注意報とします。県民の皆様へのお願いについては、警報の時に比べて少し規模は変わるかと思いますが、個別の感染対策を常に徹底していただきたいと思っています。特に緊急事態宣言の対象地域との不要不急の往来を控えることや同居家族以外の方が集まる会食はお店や自宅であっても、4人以下とし、短時間を念頭にしていただきたいということです。
また、高齢者福祉施設などの感染対策の強化を行わせていただきます。1月に大きなクラスターが発生しました。特に入所施設の場合は、新たに入られる方の感染が起きやすいというところです。そのため、高齢者施設、保護施設、児童福祉入所施設、障がい者支援施設に新規で入所される方、ショートステイに通われる方に対して、必要な場合にはPCR検査を行います。
もう一つ、今回の教訓としては、介護の現場と病院での仕事の仕方が多少違っていて、特に病院で介護が必要な方々へのケアの仕方が違います。やはり、行動がどうしても一定しない中で、介護もしながら看護しなければならず、病院の中でも感染者が出たということです。介護と看護の現場で意見交換などを行って、患者さんがどういう状況にあるのかお互いによく理解し、疎通できるようにしておくことを考えています。また、もし施設入所者で患者さんが発生した場合には、さらに幅広く健康観察を徹底していこうと思っています。
次に、ワクチン接種の連携強化ということです。国からも発表があったかと思いますが、福井県からも厚生労働省に職員1名を派遣させていただきます。
また、これから市町ではワクチン接種が始まりますので、各市町に1人、県から職員を兼務で置きまして、週に一、二回は現場にも行ってもらいます。1市町1名担当とし、県職員17名を市町支援班として配置し、齟齬のないようスムーズにワクチン接種ができるようにしていきたいと思っています。
これからのワクチン接種の進め方について、県としては、今のところ医療従事者への優先接種は3月中旬以降と考えていますが、県内で2万から3万人の方が受けられることになります。冷凍庫を置いたりするような基本型接種施設、個別の会場で冷凍したワクチンを解凍して接種するような連携型接種施設を合わせて全体で57施設を選定し、今後とも増やしていきたいと考えています。
もう一つ、今回の注意報切り替えにあわせ、経済対策、経済の再開ということにも徐々に力を入れて、パッケージで進めさせていただきます。県内消費を促進するため、「ふくいdeお得キャンペーン」では、これまでもGoToトラベル実施期間に県独自で15%上乗せさせていただいて、国の35%割引とあわせて50%を割引くということが年末までの状況でした。現在、GoToトラベルが再開するまでは、福井県単独の15%割引を50%割引に引き上げさせていただきます。上限は1万円となります。今後、GoToトラベルが再開した場合、割引上限を50%にそろえて、県の割引分は15%に引き下げます。それから嶺北嶺南交流枠、奥越冬割の1,000円加算も続けさせていただきます。また、キャンペーンを使った宿泊者に対して、土産品ふく袋または越前がにを抽選でプレゼントさせていただこうと思っています。
スキー場・スケート場の利用料金割引として、平日のリフト半額券と法恩寺山有料道路の無料化は2月末までを予定していましたが、今年は積雪も十分ですので、3月末まで延長させていただこうと思っています。
デジタルバウチャーの「ふく割」については、2月8日から1週間分の発行枚数を週7万枚から10万枚に拡大させていただきます。また今後についても、発行枚数の状況を見ながら決定し、できるだけ増やしていきたいと思っています。
「GoToEatキャンペーン」については、2月末まで販売を継続させていただきますが、利用期間を6月末まで延長します。全国的には約半分の都道府県で規制をかけていますが、どのように運用するかは各知事に任されています。福井県はこれまでの警報期間中でも、何とかGoToEatプレミアム食事券の発行、利用ができるようにしてきました。今後も継続して、利用期間を6月末まで延長させていただきます。
〔配付資料:令和3年度当初予算案 予算案の概要、令和2年度2月補正予算案 予算案の概要、令和3年度当初予算案 主要事業、令和3年度当初予算案 ポイント 〕
続きまして、令和3年度の当初予算案についてご説明させていただきます。まず、当初予算案のポイントですが、「とんがろう、ふくい」を実現する予算としてつくらせていただきました。長期ビジョン実行プランの中に新時代スタートアッププロジェクトがございます。このコンセプトである「とんがろう、ふくい」を実現するための予算として編成しています。もう一つの特徴として、国は三次補正予算と一体で当初予算の編成をしていますが、福井県においても、今年度2月補正予算と来年度当初予算一体的に全体の編成を行って15か月、切れ目なくやらせていただきます。
予算規模は、当初予算と2月補正の合計で過去最大の6,157億円、当初予算だけでも過去最大の5,561億円です。当初予算は、昨年に比べて689億円、14.1%の増になっています。大きいところでは、新型コロナも含めた融資が512億円の増、新幹線工事も昨年より113億円増え最高額となっています。また、地域経済循環促進ということで、スタートアップのベンチャー企業への投資を促進する基金を設けるための100億円、さらに経済対策の596億円等により過去最大の6,157億円となっています。公共事業についても、2月補正も含めて757億円を確保しており、昨年の当初予算と比べますと115.9%の伸び率になっているところです。
当初予算案の構成ですが、大きく三つの柱で作らせていただいています。「長期ビジョンによる新時代の創造」、「新型コロナに打ち克つ社会経済の実現」、「安心・安全対策の充実」ということです。
一つ目の「長期ビジョンによる新時代の創造」は、先ほど申し上げました新時代スタートアッププロジェクトのコンセプト「とんがろう、ふくい」を実現していこうということです。福井県は、幸福度日本一と言われています。いろいろな行政施策で、全国的に見ても高い水準を維持して、施策を打ち出させていただいています。しかし、県議会の中の議論でも、量的にはトップなのかもしれないが、「どこが特徴なのか」「福井らしさがどこにあるのか」といったご質問もいただいています。確かに、福井らしさ、もしくは目立つ、とんがっているところがないと、訴求力がないことにもなりますので、みんなにわかってもらえるようなものにしていこうという考え方です。
「ふくいエンタメ計画」で言えば、観光地をブラッシュアップ、食を磨く、まちづくりを行う。「次世代チャレンジ宣言」では、創業支援、事業承継推進、県立高校の魅力化、子育て、出会いの応援もする。さらに、「しあわせアクション運動」では、文化スポーツで県民を盛り上げていく、新幹線開業に向けて県民全体で機運を醸成していくようなことを行っていこうと考えています。
具体的には、「観光地のブラッシュアップ」として、三方五湖エリアに力を入れたいと思っています。三方五湖では、昨年3月30日にレインボーライン山頂公園をリニューアルオープンしましたが、まだまだ磨きがいがあるということで、「三方五湖エリア活性化支援事業」として、レインボーライン山頂公園の観光施設を改修します。特に入口駐車場の売店やレストラン、トイレをさらに綺麗にしていくことも行いたいと思います。また、三方五湖有料道路は有料期間が来年の9月までとなっていますので、無料化になってから直すのではなくて、今から綺麗にしておいて、すぐに皆様に使っていただけるようにスタートアップを考えています。さらに、三方五湖では美浜町が中心で進めている太陽光発電で動く船の建造やレークセンター整備も応援をさせていただこうと思っています。また、桂由美さんのブライダル衣装のミュージアムを作るというようなプロジェクトも含まれています。
「嶺南広域サイクリングルート整備事業」では、三方五湖を一周するコースも含め、嶺南全体でサイクリングルートを整備していこうと思います。琵琶湖を一周するサイクリングコース「ビワイチ」は200kmを超えるルートで、広い琵琶湖の周りを回れるというコンセプトは非常に雄大です。一方で「ビワイチ」を見て参りますと、琵琶湖から少し離れており、湖を見られるところはそう多くはないと思いました。三方五湖はぐるっと回っていても結構湖をよく見られる場所が多いので、とても魅力的だと思っています。「ゴコイチ」というサイクリングコースも育てていきたいと思っています。
それから「『食で稼ぐ』地域づくり推進事業」です。福井県でも各地に行くと、例えば越前おろしそばやソースかつ丼といった名物、「その場所へ行ったら食べておかないと」といった売りとなるような福井の食はあります。「富山へ行ったら白エビを食べないといけない」というところにまで、福井はまだなっていないのではないかと思います。例えば、若狭ぐじや鯛、鯖、ふくいサーモン、とみつ金時といった食材を選んで、福井に行ったらその食材を食べるということではなくて、その食材で逸品をつくって、福井に来たらみんながそれを食べたいというものをつくり出していこうということになります。あわせて、シェフもしくはお店づくりの磨き上げをしていきたいと考えています。どういうことかと言いますと、やはり一流店で学ぶということが一つのステータスであり、技術を磨くということになるのだと思いますが、その場合、期間もかかりますし、福井を離れて勉強もしなくてはならない。福井にいながらにして、トップシェフから学べる体制をつくっていく、お客さんをもてなす従業員を教育する、お店の経営の方法について学ぶといったいろいろなコースをつくり、トップシェフによる魅力創造スクールを進めていきたいと思っています。
「オーベルジュ誘致推進事業」は、今、オーベルジュ(宿泊機能付きレストラン)自体が非常に評判になっていますので、誘致できるような制度も持ちたいと思っています。
「水産学術産業拠点整備事業」は、令和4年4月に小浜市堅海の県立大学小浜キャンパスを拡充して、水産の増養殖を学ぶ新しい学科をつくっていこうと考えて進めています。ただ大学の学科をつくるということではなくて、この地域を中心に養殖等が行われていますので、様々な課題を解決していく。または、ふくいサーモンやよっぱらいサバをよりおいしいものにしていく研究も行っていく。あわせて、特定のプロジェクトに資するような新しい企業誘致の制度を持ちますので、この制度を利用し、県立大学と一緒に新たな養殖産業を開きたいというような企業を呼んできて、この場所で新しい産業の芽を育てていただく。それに県としても協力する。結果として、大きな漁業の産業が拡大していくことを狙ってやらせていただこうと思っているところです。
次に子育ての観点では、「『ふく育』応援事業」を実施します。これまでも子育て世帯に対して、「すまいるFカード」をやらせていただいていました。これは3人っ子応援プロジェクトと連携して、3人目以降のお子さんがいらっしゃるご家庭に対して、お店の割引を受けられる「すまいるFカード」を持っていただいていました。認知度は高いのですが、まだメリットがあまり大きくないというようなお話を伺っていました。そこで、幸福の福と福井の福をかけて「ふく育」ということで、各企業を募りながらふく育応援団をやっていきたいと考えています。「ふく育パスポート」を一つのキーとしながら、そのパスポートを提示すると、価格が安くなる、優待が受けられるといったことをさらに深掘りしていこうと思っています。それから、外出のサポートとして、例えばおむつを替えるスペースや授乳施設、子どもが遊べるキッズスペースといった施設を増やしていく。さらに、会社の中で子育ての応援をする、お母さんが時短勤務をできるようにする、お父さんが育児休業をとりやすいといった企業の募集をかけていきます。18歳未満のお子さんがいらっしゃる家庭が福井県内で約52,000世帯ありますが、「すまいるFカード」は2割程度の12,000枚を発行しています。今回の「ふく育パスポート」では、6割程度の32,000枚まで増やしていこうと考えています。お子さんがいることでお金がかかるところを少しでも楽にするということもありますが、それだけではなく、「お子さんがいたら得するね」、「社会みんなで支えてくれているね」と感じられるような施策に育てていきたいと思っています。
県内を元気にするということでは、「フルマラソン開催推進事業」があります。新幹線の開業が1年延びましたが、もともと新幹線の開業時期にフルマラソンをやろうということでしたので、本番は1年遅れるということになります。一方で、フルマラソンを盛り上げていくため、長くなった期間を活用して、2年前イベントやFUNRUN教室を開催して、皆様の機運を醸成していこうと考えています。特に、47都道府県で最後のフルマラソンですので、そのことを逆に活かして、特徴をつけていこうと考えています。4月上旬の開催を考えており、福井市内は桜が満開の頃ということになりますので、足羽川の満開の桜を通る。あとは、新九頭竜橋(仮称)が新幹線と道路がほぼ同じような高さを並行して走る全国で初めての橋梁になるわけです。ここでは、新幹線と競争をするという夢が実現できるわけです。こういった楽しい考え方を持ちながら、これからルートを決定していきたいと考えています。
二つ目が「新型コロナに打ち克つ社会経済の実現」ということです。今までもやってまいりましたが、感染拡大防止と経済の再生を両立させていく。その時々で、大きなクラスターが発生すれば、どうしても感染拡大防止の方に軸足が移る。そのあと、経済再生を急ぐことをやっていくわけですが、その大きな流れとして、スマート福井を実現しながら、接触機会も減らすことで、感染拡大の防止を図る。また、経済の再生は、分散型国家への転換にも結びついていくという大きな目標を持ちながらやっていこうということです。
「新型コロナウイルス感染症対策」については、基本的には今行っていることをさらに充実させてやっていく。新たに追加していることは、ワクチン接種の体制。例えば、研修会の実施、県と医師会、ワクチンの卸売業者が協議会を設けながら進めていきます。
「新型コロナウイルス感染症クラスター防止協力金」は、これまで福井県単独で1日の休業であれば1万円、時短営業であれば5,000円としていましたが、今回の法制化等も踏まえて、全国的に4万円、緊急事態宣言の対象地等であれば6万円という水準が出ていますので、これに合わせて、まん延防止等の措置をしていくことを考えています。
次に、「福井県版持続化給付金」を今回の2月補正予算で実施させていただこうと思っています。昨年も、事業者の事業継続が雇用を維持するという意味でも大切ということで国の制度も含めて、何度かやらせていただきました。今回、確定申告の時期に合わせ、令和元年と比べ、令和2年の1年間の売上げが10%以上減少した事業者に対して、1件につき10万円の持続化給付金をお支払いさせていただこうと思っています。事業所得を得られている方は、法人で18,000件、個人では54,000件です。その中で3、4割が対象となると考え、30億円の経費を予定しています。それから、コロナ関連の「県制度融資」については、今年度までは2,600億円の枠で用意させていただいています。これまで概ね1,700億円の資金需要があり、申し込みをいただいて、融資をしています。新年度から国の枠組みが変わりますので、これにあわせて、必要な制度に衣替えしていくということになります。
さらに新保証制度に対応した資金を400億円、経営安定資金を100億円。これから経済の再開により前向きに切り替えることに力を入れていこうということで、前向き資金は保証料全額補給とし、12億円を用意しています。
次に「高付加価値企業誘致推進補助金」についてです。これまでの福井県における企業誘致の基本は、できるだけ投資額が大きい、もしくは雇用の数が多いといったものに対して、重点的に補助金が出るような制度をやらせていただきました。今回はそういった制度も継続させていただいた上で、もっと規模にかかわらず、魅力的な、給料が高い、付加価値が高いような企業を呼んでこられるようにします。今、福井県の有効求人倍率は1.54で全国1位を約10か月続けているわけですが、より魅力的な企業を増やすことでUIターンを促進していこうという考え方です。あわせて、都市圏と変わらない給与や待遇を維持した企業に対しては、25%の補助率に5%や10%上乗せの支援などをする。さらに、UIターンの人を増やすような企業、子育て世帯を連れてくるような企業といったところには上乗せをする。新しい企業誘致の枠組みを用意し、その一つとして、サテライトオフィスの誘致も進めます。その上で、こうした特徴ある魅力をさらに高めてくれることについては応援をしていく形で、新しい企業誘致制度をつくって進めていきたいと考えているところです。
次に「名古屋事務所開設事業」についてです。企業誘致、UIターン、観光誘客など、中京圏は非常に今元気になっています。先日、トヨタの決算見込みが出ていましたが、非常に元気な状況です。中部縦貫自動車道が概ね2年後には大野市和泉地区まで、そこから先もできるだけ早く開通していただくようにお願いしています。そういったところを見越しながら、企業誘致、UIターン、観光誘客を進めるということで、名古屋事務所の開設を今進めたいと思っています。
「安心・安全対策の充実」についてです。これにつきましては、先般の大雪に伴い、3年前の大雪とほぼ同じの除排雪経費の40億円を準備させていただくものでございます。また、園芸・水稲育苗のビニールハウスが425棟壊れています。これを3年前にできるだけ近づけた形で再建の支援ができるような措置を行います。それから緊急融資についても、無利子無担保を実現できるような予算も持っています。また、えちぜん鉄道のロータリ車がフル稼働して壊れてしまったのですが、古過ぎて直せないとのことですので、新しいロータリ車の導入を県として応援させていただこうというところです。
私からは以上でございます。
~質疑~
【記者】
新型コロナウイルスについてお聞きします。ワクチン接種について、福井県内では福井勝山総合病院が一番早いと聞いています。2月中下旬頃からという話があったと思いますが、具体的に何日からになるのでしょうか。
【知事】
まだ国から連絡がないようです。ワクチンの承認も少し前倒しになるという報道も聞いています。福井県からの1名を含めて、全国の道府県から32名の応援が厚生労働省に入りましたので、これから少しずつ事務も回ってくると思います。そういう意味でも、早く日程も示していただいて、それに沿って、福井県では実施していきたいと思っています。
【記者】
先日、m3.comという医療関係のメディアの中で、知事のコロナ対応の評価について、福井県知事がトップという評価を受けました。率直な受け止めとともにこれまでどのような姿勢でコロナ対応に当たってきたのか、今後のコロナ対応においてどのような点が大事になってくるか知事の考えをお聞かせください。
【知事】
今の話は本当に率直に言って、大変光栄だと思っています。ただこれは私がというよりは、昨年の3月18日に福井県で感染者が初めて出て、その後528名の患者さんが出ていますが、ずっと支えていただいたお医者さん、看護師さんをはじめ、医療関係者の皆様、それから県議会のいろいろなご理解もいただきましたし、何より県民の皆様に、例えば外出の自粛や休業、時短営業などこれまでいろいろなことをお願いいたしました。こういったことにしっかり福井県の皆様に応じていただいた結果、落ち着いた状況が続いてきている。そのことが、今回の評価になったのだろうと思っていますので、そういう意味ではすべての皆様に、心から感謝を申し上げたいと思います。
どのようなところが評価されたのかといえば、やはり早い段階から福井県は必要な措置を躊躇なく取ってきたことかと思っています。例えば、4月7日に東京都をはじめとして緊急事態宣言が全国で出されましたが、その2日前の4月5日には、福井県では全国で初めて宿泊療養施設を設置させていただきました。また、妊婦さんへのPCR検査も制度化させていただきましたし、さらにはマスク券の配布も非常にご評価いただいたと思っています。看護師さんなどの医療従事者の方々、新型コロナ対応の皆様への日額の特別手当も4月の早々の段階で決めて、実施させていただきました。私も現場に行かせていただいて、看護師さんの仕事ぶりを見て、あの頃特に言われていた本当に大変だということは、コロナ患者さんを治療するというところもありますが、それ以外のこと、要はレッドゾーンに入れる人は限られているわけです。そうすると、通常であれば掃除などは業者にお願いしますが、そういうことも含めて患者さんの日常のことまで全部、看護師さんなどの負担になっていて大変な思いをされていました。ですから、業者もできるだけ中に入れられるところを広げていくということもしながら、あとは頑張っておられる方にどう報いるかということも考えさせていただきました。結果として、本当にあのときも、看護師さんには、涙を流して喜んでいただく方もいらっしゃいましたが、そういうこともやらせていただきました。店の名前の公表もご協力いただいた方々には、休業の補償でもいろいろな支援をさせていただきました。
また、今は1日4万円や6万円などの休業補償はありますが、当初の一律10万円や100万円という制度はすぐできたのですが、あのやり方ではいずれ持たない、非常に財源が必要になる。やはりそれだけ傷を負ったものに応じて、お金は出したほうがいいだろうということで、福井県が最初から特に言っていたのは、一つは雇用調整助成金の上乗せです。最初のうちは9割の補填率だったのですが、1割でも負荷がかかると、企業さんは、従業員の方をやはり整理していくのではないかというようなこともありました。もう一つ懸念したのが中小企業の場合は、従業員の皆様には雇用調整助成金が給付されますが、会社の社長さんといった役員の方には給付されない。そうすると、事業の継続は大丈夫なのかということで、そういう方々にも1万円や2万円が出せるような制度を実は3月4月のときから初めてやっていたわけです。今から思うと結果としては全国的にそういうふうに今なっていますが、当時は全く右も左もわからない中でやらせていただきました。
それが県民の皆様のご理解にも繋がって結果として良い評価をいただけたのかと思っています。
【記者】
今後の対応についてはどうでしょうか。
【知事】
今、福井県のやり方は大きく言いますと、とにかくあまり経済を止めるという発想に立つのではなくて、例えば、緊急事態宣言が発令されているような地域との往来は少し控えていただくということを申し上げていますが、できるだけ経済には負荷をかけないで、なおかつ、患者さんが発生したときには、それに幅広く、できるだけ早く対応することで、大きく広がらない体制をつくっていく。それが一番の患者さんを増やさず、また経済にとってもプラスになることだろうと思っています。今のやり方を基本的には踏襲をしていきたいと思います。
その上でやはり一番大事なことは、これからはコロナのワクチン接種を進めていく。一つのコロナと闘う手段、武器を手にできたわけですので、これを国も地方も一緒になって、先ほど申し上げたように、地方から国に対して、一緒にやっていこうというような声もかけながらやらせていただき、このワクチン接種が安全にできるだけ早くすませられることで、このコロナとの闘いを収束の方向に向けていくということが大切なのではないかと思っています。これからも気を緩めることなく、しっかりと対応していきたいと思っています。
【記者】
コロナの特措法の改正につきまして、率直に知事の受け止めと、これによって県民生活が変わる部分などをお聞かせください。
【知事】
特措法については、これまでずっと議論になってきましたが、いろいろなことを要請して、休業要請や時短営業などをお願いしたときにそれを担保する力を持たせて欲しいというようなこと申し上げて、そういったところも書かれています。また何よりもこうした休業要請等をした場合、事業者に大きな影響が出るわけですので、こういったところへの支援、財政的な措置も規定をされています。そういう意味では、これまで議論がされてきたこと、必要だと言われてきた中身が書かれているということで、大きな進歩、前進だと思っています。
しかし、やはり新型コロナウイルス感染の関係で、いろいろな私権の制限、個人の行動の自由等を奪うなどといったことについては、できるだけ最小限にする必要があると思います。なおかつ、先ほど申し上げましたが、福井県は、県民の皆様が非常によく私たちが発信する情報、そういった内容についてご理解をいただいてご協力を積極的にしていただける土地柄ですので、そういう意味では、制度は制度としてあってよいのですが、その上で、これを実際に適用するということについては慎重に判断をしながら進めていきたいと思っています。
【記者】
今回の当初予算の特徴を踏まえたネーミングを教えてください。
【知事】
これは、資料にも書かせていただきましたが、「とんがろう、ふくい」実現予算というところかと思います。
やはり福井県は幸福度日本一でもありますし、いろいろな指標を見ても、生活がとても高い水準にあると思います。一方で、なかなか目立たない、「福井ってどこ」など、未だにそういうようなお話もよく聞くところです。それはやはり、目立つというのか、とがったというか、訴求力、発信力、こういうところがまだ不足しているところがある。もしくは何事もあまり荒立てないでやっていくこと自体は決して福井県が幸福度の高い社会である大きな理由なので、変に曲げる必要はないと思いますが、とはいえ、やはり「とんがる」ようなことをすることが一つ、福井がもう一歩前に出ることが必要な方向性ではないかなということもありまして、今回新しい長期ビジョンに従って、新事業をスタートする、今回から実質的にスタートしていくわけですので、「とんがろう、ふくい」をキャッチフレーズに、この予算を組ませていただいたというところです。
【記者】
財政について、県税が減って、借金をして、県の貯金も崩して財源を整えたという形になっています。大きなコロナの対策費が新幹線も含めて必要なためだと思います。このために節約した事業、躊躇した、我慢したという事業があればお聞かせください。
【知事】
全体の枠の中で、おっしゃられるように今回も、財政調整基金を大きく取り崩して、予算も組ませていただいています。
しかし、全体として見れば、10年の計画の中に収まるようやらせていただいたところで、そういう意味では積極的な予算を組ませていただいています。県としての一般財源にできるだけ配慮しながら、例えば、国の新型コロナの交付金も含めて、できるだけ活用しながら、また2月補正予算の場合は公共事業が非常に有利ですので、これを手厚くすることで、予算の中身としてはあまり無理矢理やりたいものを抑えるというよりは、財源の工夫をし、健全化を維持しつつ、予算を組ませていただいていると思っています。そういう意味では、あまり止めたというような査定をしたつもりはございません。
【記者】
今回は思った予算が組めたということだと思います。しかし、財政に厳しさが出てきているというのは否めないと思います。今後、財政運営していく上で心配なことはあるのでしょうか。
【知事】
これはおっしゃるとおりで、特に新幹線の建設負担金は113億円膨らむわけです。それは年末に決まりました、事業費の増嵩分、県分でも実質80億円が増えてくるようなところで、一つに大きくは起債が膨らんでいく。今6,000億円以下に抑えていこうということでやらせていただいていますが、これがどんどん上限に近づいていくということが今懸念されています。また財政調整基金も、今ぎりぎり100億円の水準を維持していますが、過去見てみると、予算を組むときに財調基金を99億円と一番崩したときがあります。
やはり100億円切ると、いつ何が起きるかわからないということもありますので、何とかぎりぎりでやらせていただいています。本年度は、多分国の姿勢としても、地方交付税、それから臨時財政対策債を手厚くすることで、一般財源総額を維持して、そういう中で何とか予算を組めています。国の財政状況の厳しさが増してくると、地方にも波及していきますので、やはり常に財政の状況を見ながら、その中で工夫をしながら身の丈にあった予算を組んでいくことを続けていきたいと思います。
【記者】
予算の項目の中で、スマート福井の実現、DXの推進ということが挙げられていると思いますが、そのねらいと今後の方針をお聞かせください。
【知事】
先日も、日本マイクロソフトと連携協定を結ばせていただきました。私も今、勉強している最中ですが、DXの必要性は、いろいろなところでメディアを通じて、生活のDX、産業のDXなど、PRや報道等もされているところだと思います。やはり、私たち自身が、DXでこんなことができる、これが課題だということを知ること自体はとても大事だと思いました。そういう意味では、まず行政のDXについては、職員すべてが一定程度の理解力を持つことが必要だと思っています。
今までの私たちは、アナログ人間なので、次に物を作るときも、人力を頭に思い浮かべながらやるわけですが、DXでこんな簡単に安くできるということがわかれば、そういう施策の考え方をするでしょうし、次に今度は何かをやるときにそれを蓄積していく、県庁でも職員の中に蓄積していく必要があります。そのためには、みんなが全体として少し理解を持った上で、職員の中にさらに深掘りして詳しいDXのリーダーを何人も作っていく。これがまず行政のDXで大切だと思いました。
それと共に、市や町、国も含めた全体の17事業については、国一本で新しいシステムを作られるということですが、併せてそれに無いような、例えば県庁の中のいろいろなバックヤードの仕事、例えば予算をつくる、会計のシステムは、県庁だけで持っているよりはみんなでつくってしまったほうが安くできる。さらにいろいろな意思疎通もしやすくなることもありますので、そうしたシステムの統合を、市町とともに、県が率先してやっていくということも大事だと思っています。
さらには、そのシステムの統合の先に、行政サービスの統合も出てくると思います。例えば身近なところで言えば、図書カードが同じシステムで動くようになって、後は垣根を取ってしまえば、隣の町の図書館も使えるようになるわけです。そうした公共施設の利用券としての、各市町が発行しているようなものを用いたサービスも一元化が可能になってきます。そういう意味では、職員のレベルを上げて、システムの一元化を図りつつ、行政サービスは一元化するほうがいいものとそうでない部分もあるかもしれませんが、市町の理解も見ながら、住民の皆様に行政全体として、できるだけ使いやすくすることで、今、ワンストップということが一つの行政の合言葉となっていますが、ノンストップ化が重要かと思っています。
【記者】
今回予算で上げられているのは、住民や企業向けのDX推進がメインになってくると思います。県内の住民や企業のDXの推進状況、現状をどう見てらっしゃるのでしょうか。
【知事】
県内の中小企業にアンケートをとっていますが、この中でも、すでに何らかの形で電算化、デジタルシステムを取り入れているという企業が87%あると伺っています。またこれからも、デジタルシステムを導入していきたいという方が63%。一方で、何をしていいかわからない、それから人材がいないという企業も各々4割ずついらっしゃる。これが現状だと思います。
今回も商工会議所などとも話をしながら、そして中小企業の皆様が、デジタル化を進めていく。特に私も勉強していて少しずつわかってくるのですが、個別システムをみんながバラバラに導入していくとものすごくコストがかかる。そうではなくて、いろいろなCloudなどで提供されているもの、サブスクリプションで出されているようなものを使ったり、もしくはAPIを介して、自分のところで持っている今までのシステムと紐づけると安いお金で、さらに技術者も少ない数で、DXがものすごく進むということもわかってきています。そういうことを商工会議所などとも進めたいと思います。県庁職員向けの研修なども、予算を持って、今回やらせていただきますので、これをさらに生活面も含めて進められるようにやっていきたいと思います。
【記者】
3月20日に県民衛星「すいせん」の打ち上げがありまして、これをもって一段落という見方もありますし、これからが勝負という言い方もあるかと思います。今回のトピックスには人工衛星産業が触れられていないので、知事としてどういう思いかお聞かせください。
【知事】
人工衛星「すいせん」は3月20日にカザフスタンのバイコヌール宇宙センターから、打ち上げをしていただく予定です。これで福井県の宇宙産業の旗印というものができるわけです。これによって、すでに小型人工衛星の製造の受注については既に他にも3つ受注している上に、細かくいろいろな部材を受注するということがだんだん増えてきていると伺っています。
こういったことを、今回打ち上げるということでさらに拡大し、外に向かって発信ができればと思いますし、何よりこれから大事なことは、商売にしていかなければいけない。今は災害用に上から撮った写真を使うようなことを考えていますが、できるだけそれを幅広く商売になるように広げていけるような工夫を、また一緒になって応援しながらやっていかないといけないと思います。
【記者】
今回の配布資料のトピックに載らなかったのはたまたまでしょうか。
【知事】
そうです。昨年の資料に大きく出ていましたし、また年度の途中で申し上げました。あともう一つは人材育成。これも東京大学も一緒になって、福井大学の工学部などでも事業者さん向け、学生向け、そして今度は子どもにも広げていくことで、それを学んだり、商売にしようという人も増やしていくことも、引き続きやっていきたいと思います。
【記者】
県税収入は、下降している状況かと思います。回復には、経済を回すことが大切だと思いますが、今後どのように回復させていくのかお聞かせください。
【知事】
今年度も大きな影響がありましたが、来年度の法人関係税収が一番大きく落ち込むと思っています。
ワクチンが効いてきて、経済が戻ってくるにしても、やはり年内はきつい状況が続いていくだろうと思います。そうすると、来年度内も厳しいが、影響は令和4年度にもかなり残ることになる。経済が完全に元に戻るのは、時間がかかる。税収が以前の水準までに戻るのは、3、4年というスパンを頭に置いて考えないといけないと思っています。この期間は、国の財政対策をしっかりと行っていただいて、一般財源の総額を確保し、決められた枠の中で財政の健全化を念頭に置きながら、予算編成をしていくことになると思っています。
【記者】
当初予算で北陸新幹線の県内開業の効果を活かすために、ハード整備では、三方五湖エリアや東尋坊、恐竜博物館機能強化などもあると思います。改めて県内観光の受け皿づくりの現状認識、新幹線開業に向けて観光地整備をどう進めていきたいかをお聞かせください。
【知事】
新幹線福井・敦賀開業に向けて、できることをすべてやっていこうと、今、我々は観光地やおもてなしの磨き上げに取り組んでいます。基本的な考え方としては、開業が1年延びても作ると決めているもの、例えば、恐竜博物館は令和5年の夏にはオープンさせる、一乗谷朝倉氏遺跡博物館の開館も基本的に今までの予定通りにやっていく。我々も事前におもてなしの練習期間をとることができます。
その上で、例えば東尋坊は、まだ間に合わないという部分がありましたが、できるだけ新幹線までに取り込めるところは取り込んでいく。今までは駐車場の整備までで終わるというところを商店街に関する議論にまで話を進めて、綺麗な場所にしていくことで、お客さんが来たときに喜んでいただける環境にしていけるのではないかと思っています。
1年延びたことをさらに弾みにできるように続けていきたいと思います。
【記者】
フルマラソンについては、全国で最後の大会になるとのことですが、「桜」という特徴のほかに福井らしさをどのように演出したいと考えているのでしょうか。
【知事】
当初予算では、県と福井市、関係団体で協議会を設けて、まずコースをどう決めていくかをこれから議論していきます。天守閣が残っている丸岡城のような場所もコースにいれていきます。また、裾野を広げるようなFUNRUNイベントといった家族やグループで参加ができて楽しみながら走れるようなことも取り入れるというお話もあります。
また、デジタルとマラソンを組み合わせる。会場ではなく、別のところで走っていても、自分がどこにいる、一番になるといった競争ができるような方法もあるらしいので、デジタルを活用することも行っていくと聞いています。これからよく考えながらやっていきたいと思います。
【記者】
県版の持続化給付金について、国の持続化給付金に比べて支給額自体が少ないと思いますが、10万円をどのように支援、役立ててもらいたいと考えているのでしょうか。
【知事】
中小企業や従業員を抱えている企業にとっては、あまり大きな金額ではないと言われるかもしれません。しかし、例えば生命保険の外交を担当している方は、基本的に企業と雇用契約が結ばれていて、最低限の所得は補償されていますが、多くの部分が事業所得の中で賄われている。このような方々に、応援ができていなかったことがあります。
また、持続化給付金は、要件が非常に厳しい。今回、確定申告で年間を通じての売り上げも見られる状況になったので、それを活用して、できるだけ幅広く、事業を継続してもらうことで雇用を維持していただく。このような社会的な必要性の中で、10万円を個人で事業をしている方にとってはそれなりの金額だと思います。確定申告で事業所得を計上している法人は、県内で大体72,000、うち18,000が企業、54,000が個人の事業所得ですので、裾野広く10万円が行き渡ると思います。
【記者】
財政課からも「徹底現場主義に基づく予算編成」という話をお聞きしましたが、具体的にどういった事業が今回の予算に反映されているのでしょうか。
【知事】
ありとあらゆる事業です。最近、オンラインもできるようになったので、いろいろな方と話をできる機会が増えていると思います。もちろん職員と年間を通して、コミュニケーションもとるようにしました。予算査定の時だけに予算の話をするのではなく、年度の途中から来年の議論をしてきましたし、経済界の皆様ともいろいろな形で意見交換させていただきました。また、医療機関、医療関係者の皆様とも様々な形で現場を見学しながら話をしました。
一つひとつの事業をみると、どれも意見交換の中で出てきている、もしくは私が得た経験や知識をもとに、職員に「もっとここは深掘りしたほうがいいのではないか」と、事あるごとに言ってきています。どれがどうだったかというのが思い出せないくらいたくさんあります。市町からも意見を聞いています。
【記者】
予算の中で知事の独自色やカラーとして、込めた思いが強く出ている事業や新しく始めた事業をお聞かせください。
【知事】
「とんがろう、ふくい」の中で、今回、一番力を入れていたのは、「価値づくり産業」、物事を変えていく大きな目玉として、年度の早い段階から行ってきました。今までは、とにかく量、数、人数にどんどん投資額と雇用人数に補助金を出すというやり方だったものを、大小だけでなく、質、付加価値が高い企業や給料をたくさん払っていただける企業、従業員が働きやすい企業などに来てもらえるような体制をつくることが、福井県にとって重要だろうとやらせていただいています。
他にも、新しい芽を育てる。ベンチャー企業の支援にも力を入れています。チャレンジが福井県にとっても大切だと考えています。
長期ビジョンを策定したときも、基本コンセプトが「安心の福井を未来につなぎ、もっと挑戦、もっと面白く」としています。「安心の福井を未来につなぐ」は、幸福度日本一の福井というふくいらしさをそのまま残しておこうという部分。後半の「もっと挑戦、もっと面白く」というところが課題だと私は思っているので、挑戦しやすい環境をつくるところを「福井型エコシステム」ともいっていますが、会社の社長が若い人を育てる投資ができる環境をつくっていきます。
「もっと面白く、ワクワクドキドキする」ということで、先ほどの新幹線もありますが、福井がいろいろなところで目立っていけるような観光地づくりや食べ物づくりをやっていこうと思いましたし、何といっても福井県は子育てだと思います。今、2人目のお子さんの0~2歳時に無償化を広げていくことにチャレンジ中であり、今年度はまだ形にできていませんが、子だくさんプロジェクトを前に進められるようにチャレンジしていきたいと思います。
【記者】
本日夕方から、経済産業大臣と関西電力社長、資源エネルギー庁長官との面談が入りましたが、誰からの要請で、どのような内容の面談でしょうか。
【知事】
直接的には向こうからです。これは国と関西電力の両方からのようです。内容については、予想されるのは年末の話の続きかと思いますが、詳しくは聞いていません。一つの大きな話題としては、中間貯蔵施設の県外立地の計画地点の提示に関わることかと思っています。
【記者】
梶山大臣の会見において、今回の面談で核燃料サイクルの取組みについて、県に報告するとの話があったようです。県は国と関西電力にそれぞれ宿題を課しているところですが、回答が得られる場と考えればよいでしょうか。
【知事】
それはどういうことになるのか、まだわかりません。というのは、今私ども、新しい議論に入る前提として、先ほどの計画地点の話をしています。宿題、ボールは国にも関西電力にも投げていますので、それが返ってくるということもあるかもしれませんが、詳細については分かりません。
【記者】
関西電力社長との面談は10月以来だと思いますが、知事としては中間貯蔵の提示について、報告を期待するということでしょうか。
【知事】
期待すると言いますか、そうなのかなと思っているということです。今一番の喫緊の課題はその部分だと思います。
【記者】
9日に県民向け説明会を開いたかと思いますが、出席者から規制委員会の安全審査について疑問点なども出たようです。その回答をもって県としては、県民の安全性に対する理解が深まったと考えているのでしょうか。
【知事】
様々な意味で、原子力発電所の安全性、40年超運転もそうですが、安全性というものをよく住民の方や県民・国民に説明するということは国に対して、日頃から私ども申し上げています。そういう意味ではいろいろな形でこの説明会という形で市や町もやられていますし、国が来て説明もしていると認識をしています。
今回は特に、年末に課題となった基準地震動の考え方、大阪地裁の判決に対してのところを重点的に話をしていただくということの説明会を設けさせていただいたものです。そういう意味ではもちろん、ここでご理解いただいたこともあると思いますし、引き続き、常に40年超運転もしくは原子力発電所の安全性、重要性については、国として、しっかりと今後とも説明をしていただきたいと思っています。
【記者】
これまでの情勢からして、今日の面談は、投げていたボールに答えが返ってこないのではないか、微妙な内容になりそうな予想をしています。事前の知事の腹積もりとして、この点だけは譲れないという点、心構えをお聞かせください。
【知事】
今日の夕方のことですので、お話しを聞いた上で。
【記者】
具体的な立地地点の明言が、ぼやっとでも見えれば、ということでしょうか。
【知事】
焦ってするほどのことでもないです。必要があれば話をさせていただきます。
【記者】
小林化工の今回の行政処分にあたっては、会社の問題点というものがもう挙げられないほど出てきたわけですが、知事の率直なその受け止めと今回116日の業務停止命令を考えるにあたって一番重視した点をお聞かせください。
【知事】
これだけの健康被害が出ている。しかも、その原因が薬の取り違いといったところから睡眠導入剤が経口抗真菌剤の中に混入するという事はあってはならないということです。発生の原因を見ていけば、全く安全意識、コンプライアンス、遵法意識がないのではないかと思われるぐらい、例えば承認書に書かれてないような作り方をしている、商品、製品の試験をやっていない、データを捏造する、これを長年にわたって行われていたということについては遺憾に思っています。
また、そういった検査を逃れるために、二重帳簿といったことまでしていて、わからないようにしていくところも非常に憤りを感じているところです。
今後に向けて、116日というものは、福井県にとって、規定上で最も重い業務停止期間となります。我々としては、そういった一番重い業務停止ということを今回出させていただいていますし、さらにはこの期間に、業務改善命令も出させていただいていますので、新しい会社に生まれ変わって、しっかりと薬に対する信頼を取り戻していけるような会社になっていっていただきたいと思っています。
【記者】
今回239人の健康被害が出ていまして、一般的な感覚ですと業務停止命令だけでは軽いのではないかという見方もあると思います。取消しを選ばなかった理由を改めて教えていただけますか。
【知事】
これは規定に則って、やらせていただいているということでございます。もちろんやったことは、非常に厳しい処分を受けて当然だと思っています。
ただ、こうした事態が発覚した後は、しっかりと国や県の検査、聴取といったものに応じています。健康被害等にあった方々に対する補償についても、真摯に応じていることもあります。
また、コンプライアンスを遵守するという方向性で会社を変えていくことについて明らかにしながらやっています。何よりも今回、この会社としては、初めてということですので、そういったことを勘案して規定に則って、業務停止命令と決めさせていただきました。
【記者】
先ほど知事も指摘されていましたが、県の立ち入り検査では虚偽の製造記録を示して、見つからないようにしていたということです。これに対する改めて知事の考えと今後の県のチェック機能の強化についてお聞かせください。
【知事】
基本的に国の調査のガイドラインについて言えば、通告した上で行っていくというようになっていました。そのことを逆手にとって、こういった二重帳簿でごまかしていたというのは本当に言語道断だと思っています。
その上で、これからはまず事前通告なしの調査といったことを他の事業者さんも含めて、県としては積極的にやらせていただこうと思っていますし、国に対しては、ガイドラインをきちっとつくっていただきたいということも申し上げています。
また、非常に専門性の高い分野ですので、県の対応だけでは難しいところも出てきます。そういう意味では、国もしくはPMDAといった専門機関が調査に入る、もしくは、そういった組織を地方に置くといったこともぜひ国には考えていただきたい。地方との連携の強化もこれから進めていただきたいということをあわせて国にもお願いしつつ、やっていこうと思います。
【記者】
最後に、今後の行政処分の手続きとして業務改善計画などが提出されて県が再開を判断することになると思いますが、どういった基準でこの事業再開の可否を判断するのでしょうか。
【知事】
これは法律に則って、しっかりと審査をさせていただきます。当然のことながら、今回問題になったところが、どのように改善されているかというところのチェックをさせていただきますし、また何より承認された製造工程を守らないでやっているわけですから、新たに法律に則った製造工程の承認をとってもらう必要もあります。
そういった当然やらなければいけない事、大きな過ちを犯したところをしっかりとチェックをさせていただいて、その上で、事業再開できるかどうか判断していくということかと思っています。
【記者】
基本的には6月5日までが最長の停止期間かと思いますが、その直後から、県が事業を再開してもいいかという判断をするというスケジュールでしょうか。
【知事】
これは業務停止期間中にできないことがいくつもあると思いますので、そんなに簡単にはいかないと思っています。
【記者】
規定に則って、業務停止116日を出されたということですが、現行の規定はこれほどまでの違反行為や健康被害などを想定していないのではないかと思います。上限が116日になっているという現行の基準は妥当だとお考えでしょうか。
【知事】
国の基準は110日が上限だと思いますが、こういった法律に則って国としての制度ができて、各都道府県がその法律に基づいて法定受託事務で基準を設けてやっています。116日は、基本的には全国的に一番スタンダードな日数だと思っています。その中で、取消しに当たらない場合には、最長116日という規定になっています。
そういう意味では、予定しているしていないということに関わらず、116日間がこの規定の運用の中での最長ということになりますし、なおかつ企業には当然116日間で業務改善も含めてどんどん進めていただくということかと思っています。
【記者】
国は化血研に出したときの最長110日間になっていて、また県によっても違うと思いますが、福井県の場合は116日となっています。ここを統一していく必要性を感じていますでしょうか。
【知事】
6日間の問題をどうとらえるか、全部そこまでそろえるかということがあります。もともとが法定受託事務になっていて、各自治体の判断というものも入ることも決められている中身です。大きく言うとそんなに違いはないと思いますので、運用としては我々も今回、国とともに一緒にやってきて、ある意味、特に健康被害のところは国が一元的に、第一次的に国民に対して責任を持ってやっていただくという部分でありますので、そういった指示も受けながらやってきました。規定の6日のことそのものを取り上げて、大きな問題とは思っておりませんが、いずれにしても、これからもしっかりと国には責任を果たしていただきつつ、我々もそれと連絡を密にしながらやっていく必要があると思っています。
【記者】
高速道路の予防的通行止めということに関して、知事の所感とこれからの運用に関してお聞かせください。
【知事】
事前の予防的通行止めにつきましては、1月7日から11日の大雪のときの反省を踏まえて、緊急に国、NEXCO、県で対応策について検討してくる中で、打ち出されたやり方と認識をいたしています。
これそのものは、必要性はあると私も思っています。といいますのは、今回もなぜ大きな渋滞、例えば1月9日に北陸道であれだけの渋滞が起きたかといえば、交通を大きな迂回路を設けないでどんどん入ってくる車を何とか通そうとして、結果的にスタックしたという情報が行くのが遅くなって、それだけ並んでしまったということになります。そういう意味では、JRも含めて、大きな災害が起きるようなことが事前に明確になるようなときには、通行止めをするということは当然あると思います。
しかし、私どもが国、NEXCOに対して今回いろいろと申し上げているのは、運用のところで、あまり通行止めすることを先に考えてやってしまうと、1月下旬の降雪のときにありましたが、例えば北陸道が止まると、今度は国道8号がものすごく渋滞する、もしくはそこで何か事故が起きれば通行止めになるようなこと、さらに両方が止まると今度は全体として入ってくる車の量が抑えられなければ、一般道路のところにそれが全部入ってくるわけです。そうなると、県民生活が立ち行かなくなる。そういう意味では北陸道、それから国道8号のような直轄国道といったところの事前通行止めは、県民生活にも非常に影響が大きいということをぜひ認識していただきたい。
その上で、やるとしたら、事前通行止めが全体としてみて、通行止め時間を最短にする最善の方法であればやると考えないと、事前通行止めを先にやってしまうとなかなか今度開けられなくなる。結果として、通行止めの時間が長くなるということが十分に予想されますので、そういう意味では運用にあたっては、全体として通行止め時間を最短にする方法を考えて予防的な通行止めも運用していただきたいと思っています。これについて、我々はすでに国、NEXCOにも申し入れもさせていただいています。
そういった点についても、NEXCOもよく運用もしくは除雪を強化することも含めて、今後ともやっていきますとお話はいただいていると思います。
【記者】
大雪に関連して、先月の大雪の被害を受けて、県も加わって国交省とNEXCO等が検証結果と今後の対応についてまとめました。しかし、知事が前段でおっしゃられていた通行止めに関する降雪・積雪の話や人の判断をどこまで介入させるのかを聞いていると多少ずれがあるのではないかと感じる部分があります。知事は検証結果、今後の運用について、率直にどのように受け止めておられるのかをお聞かせください。
【知事】
今回あったのはとにかく次の降雪に備える、いつ来るかわからない雪に備えないといけないので、短期的に今すぐできることは何かということを検討した結果として出されていると思います。
そういう意味では、私どもが申し上げたことは、まず冬期道路情報連絡室をつくるということは事前にできていましたが、そこのところでさらに高度に道路を止めるという判断までできるような体制をつくる、除雪力を強化するだけではなくてお互いに応援し合うことなども提案させていただくなど、かなりの部分を入れていただいていると認識しています。
基準づくりやオペレーションを具体的にどのようにやっていくか、特にタイムラインをつくって、こういうようなときにはどのぐらい前から広域迂回をやっていくといった基準づくりは、簡単な話ではありません。今年もう1回大きな雪が降れば、今回の反省を踏まえながらみんなで現場でやるしかないというところはあると思います。今言われたようなところは私たちとしても、基準をきちっとつくって、ある程度この基準を超えなければ事前の通行止めはしませんといったことはあるに越したことはないと思っていますので、引き続き、雪のシーズンが終わった後も議論をさせていただきたいと思っています。
【記者】
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が退任、引責辞任になるというニュースが流れています。北陸の元首相でもありますので、この問題についてお考えをお聞かせください。
【知事】
これは報道等で様々言われているとおりだと私も思っています。やはり男女平等は言うまでもなく、常識的に物事を考えながら、当然進めていく。一番大事なオリンピックの精神の基本のところだと思いますので、こういったところはしっかりと持ちながらやっていただきたいと思いました。
いずれにしても、オリンピックは目の前に迫っていますので、こういったことは早目に収拾しながらオリンピックの安全な開催に向けて、しっかりとこれから組織としても努めていただきたいと思っています。
―― 了 ――
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