第439回定例県議会提案理由説明要旨
令和7年9月3日 第439回 定例県議会
知事提案理由説明要旨
福 井 県
第439回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および令和7年度9月補正予算案の概要につきまして、ご説明申し上げます。
はじめに、先月6日からの大雨により、九州地方を中心に甚大な被害が発生しました。 亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、 被災されたみなさまにお見舞いを申し上げます。
また、県内では7月の月平均気温が観測史上最高を更新するなど、記録的な猛暑となり、今月に入っても厳しい暑さが続いています。県では、熱中症予防の注意喚起を継続的に行うとともに、農業者のみなさまに向け、高温や水不足への対応について周知を図っております。
次に、先般の参議院議員選挙において当選されました滝波宏文氏に対し、心からお祝い申し上げますとともに、国政において、高速交通体系の整備促進や責任あるエネルギー政策の実行、人口減少対策など、本県が直面する諸課題の解決にご尽力されることをご期待申し上げます。
次に、北陸新幹線の整備促進について申し上げます。
先月公表された令和8年度概算要求において、敦賀・新大阪間の新規着工に要する経費が事項要求として盛り込まれました。一方で、与党整備委員会の西田委員長は、小浜京都ルートのほか、米原ルートおよび小浜舞鶴ルートについても、事業費や工期等の試算を行い、改めて検証する考えを示されています。
県といたしましては、今回の再検証は、小浜京都ルートの認可・着工に向けた「着工5条件」を早期に整えるための議論の一環と認識しております。議論を進めるにあたっては、昭和48年度に全国新幹線鉄道整備法に基づき整備計画が決定されたこと、平成28年度には関係自治体等の意見を踏まえて小浜京都ルートが決定されたこと、さらに新たな環境アセスメントは沿線自治体の同意が無ければ実質的に実施できないことなど、法律や制度、これまでの経緯を十分に踏まえる必要があります。
加えて、小浜京都ルートは、本県、特に原子力立地地域が50年以上にわたって切望してきたルートであり、立地地域の振興や課題解決に責任を負う国が先頭に立って、その実現に取り組むべきであります。
引き続き、県議会のみなさまをはじめ、沿線府県や経済界との連携を一層強化し、小浜京都ルートによる一日も早い認可・着工、そして全線開業の実現を政府・与党に対し強く求めてまいります。
次に、観光誘客について申し上げます。
北陸新幹線福井・敦賀開業の観光効果については、令和6年の観光庁の宿泊旅行統計調査において、県内の日本人延べ宿泊者数が約394万人、前年比で23.7%増加し、伸び率で全国1位となりました。外国人宿泊者数も42%増と好調であり、さらなるインバウンド誘客に向け、県内事業者が海外で行う商談活動を支援してまいります。
大阪・関西万博については、7月16日に会場内のホールにおいて、本県の魅力をアピールする特別ステージ「恐竜王国福井DAY」を開催しました。3回のステージすべてが満員となり、勝山左義長ばやしの披露や三方五湖の生中継、JETSによるパフォーマンスなど、本県の様々な魅力を来場者に届けました。「関西パビリオン福井県ゾーン」には、開館から4か月で21万人以上に来場いただいており、引き続き国内外のみなさまに福井の魅力を発信してまいります。
閉幕後は、ゾーンでの恐竜展示をこども家族館に移設し、誘客の目玉として活用するとともに、万博の展示をご覧になれなかった県民のみなさまにも楽しんでいただけるよう整備を進めてまいります。
恐竜博物館については、先月末現在の来館者数が67.5万人と、昨年度同時期を上回る好調を維持しており、現在開催中の特別展「獣脚類2025」は、過去最速の開催48日目に入場者数20万人を突破しました。
11月から来年2月にかけては、恐竜ライブショー「DINO A LIVE 」やナイトツアー、世界的に著名なショコラティエとのコラボによる 「チョコレート恐竜展」など、来館者に楽しんでいただけるイベントを切れ目なく開催してまいります。
嶺南地域への高級リゾートホテルやオーベルジュの誘致を目指す 若狭湾プレミアムリゾート構想については、今年2月から6月にかけて民間事業者の投資計画を公募し、3か所の候補地についてそれぞれ優先交渉権者を選定しました。うち、小浜市の候補地であるエンゼルライン第2展望スペースについては、昨日基本協定を締結したところです。
引き続き、市町と連携し事業化に向けた協議や調整を進めるとともに、新たな候補地も検討し、11月頃に第2回の公募を行ってまいります。
次に、県都のまちづくりについて申し上げます。
アリーナ構想については、先月19日、経済界から、整備イメージや整備・運営スキーム、収支計画などの事業計画が公表されるとともに、今月中を目途に、福井商工会議所の子会社としてアリーナ整備・所有会社を設立する方針が示されました。経済界の不退転の覚悟が形になって表れたものと評価しております。
アリーナは、県内に人を呼び込み、県全域に人の流れを拡げるにぎわい創出の拠点として、官民連携の新たなモデルケースとなる重要なプロジェクトです。県としては、国の交付金やふるさと融資を活用した整備への支援、開業後に県民利用枠を確保するための施設利用料などを応援していきたいと考えており、県議会のご意見を伺いながら、関係機関と具体的な調整を進めてまいります。
福井城坤櫓等の復元整備については、7月から御廊下おろうか橋ばし・御本城ごほんじょう橋ばし間のお堀において仮設ヤードの造成工事を開始し、令和11年度の完成に向けて本格的に工事がスタートしました。この秋には埋蔵文化財調査を行い、来年1月頃には石垣補強工事に入る予定です。工事状況の現場見学会など、機運醸成にも引き続き努めてまいります。
次に、経済・産業振興について申し上げます。
米国の相互関税については、先月7日から税率が15%となっております。これを受け、県では先月26日に国、商工団体、金融機関等と 「米国相互関税対策会議」を開催し、県内企業への影響や対応策について意見交換を実施しました。
県では、この会議でのご意見などを踏まえ、関税の影響を受ける企業からの経営相談に対し、専門家による伴走型支援を実施し、丁寧に対応してまいります。また、下請け企業への不当な「しわ寄せ」を防ぐため、業界団体を通じて中小企業の取引状況を調査するとともに、価格交渉のノウハウを指導するための体制を整えるなど、米国相互関税の影響が不透明な状況下でも、県内企業の取引適正化に向けた対策を講じてまいります。
本県経済の持続的発展には、物価上昇に負けない継続的な賃上げが重要であり、今年度の最低賃金改定にあたっては、福井地方最低賃金審議会長および福井労働局長に対し、積極的な議論を要請するとともに、経済界に対しても継続的な賃上げの実施を強く求めてまいりました。その結果、国の目安額を6円上回る69円の引上げとなり、過去最高となる時給1,053円が答申されたことは、地域間における賃金格差の是正・縮小を促進し、若者や女性、外国人にも選ばれる福井県の実現につながるものと考えております。
県としては、企業の収益力向上を支援することで安定した賃上げの原資が確保されるよう、国や関係団体と連携しながら施策を進めてまいります。
次に、福井空港の利活用について申し上げます。
7月に「福井空港ビル再整備構想」をとりまとめ、現在は、駐機場の地質調査を行っております。駐機スポットの増設など防災拠点としての機能強化や、観光やビジネス利用での利便性向上を図りつつ、地域住民に開かれ親しまれる空港の実現を目指して、再整備を進めてまいります。
次に、農林水産業の振興について申し上げます。
「いちほまれ」については、過去最多となる約1万2千トン、昨年より2割増しの生産を見込んでおり、今月中旬から新米の販売を開始します。来月には、俳優の大島優子氏を起用した新たなテレビCMのお披露目を兼ねた新米発表会を開催し、消費者のみなさまに福井のおいしい「いちほまれ」をしっかりと届けてまいります。
次に、こども・子育て応援について申し上げます。
ひとり親家庭のみなさまからは、子どもや保護者の将来を見据え、経済的自立に向けた支援を求める声が寄せられております。県では、こうした声を受け止め、まずは安定した収入の確保を目指しキャリアアップを後押しするための環境整備を進めてまいります。
また、4月に設置した「ふく育推進チーム」において、引き続き様々な環境にある子育て当事者のみなさまと意見交換を重ねており、子育て環境のさらなる充実策を検討し、誰もが安心して子育てできる「ふく育県」をさらに進化させてまいります。
次に、若者応援について申し上げます。
若者の挑戦を官民一体で応援するため、7月に「チャレンジ応援エグゼクティブ」を任命しました。熱意ある8名の経営者に就任いただいており、今後、資金提供のほか、その知見やネットワークを活かして若者のチャレンジを応援していただきます。
若者が夢や目標に向かって挑戦する姿は地域の活力そのものであり、民間との連携も図りつつ、若者が「福井で挑戦したい」と思える環境づくりを進めてまいります。
次に、教育について申し上げます。
「全国高校生プレゼン甲子園」については、36都道府県から過去最多の777チームの応募がありました。先月23日の決勝大会では、地域ブロック大会を経て選ばれた10チームが競い合い、本県の高志高校チームが優秀賞に輝きました。今後も、本県独自の「プレゼンテーション教育」の充実を図るとともに、探究的な学びの成果を発信する場として、本大会を全国の高校生が目指す舞台へと育ててまいります。
また、県立大学については、永平寺キャンパスの交流センター内に、新たに国際化のための拠点を整備し、実践的な語学力の強化や学生の海外派遣等の促進を図るとともに、海外の大学や県内企業の海外拠点等との交流・連携を進め、グローバル人材の育成に力を注いでまいります。
最後に、原子力について申し上げます。
立地地域の振興については、先月6日、立地地域の将来像に関する共創会議が開催されました。同会議においては、工程表に具体的な取組みが新たに明記されるとともに、資源エネルギー庁村瀬長官から、避難道路の整備に向け、関係省庁と連携しつつ必要な予算を継続的に確保していくことが表明されました。また先月25日には、関西電力から、地域振興のために今年度から当面の間、毎年度資金を拠出する新たな仕組みの構築について、説明があったところです。県としては、国や事業者に対し、地域の将来像実現に向け、よりスピード感を持って着実に取組みを進めるとともに、地域の振興や課題解決に向けた取組みに必要となる財源を十分に確保するよう、引き続き求めてまいります。
使用済燃料の乾式貯蔵施設については、先月29日、関西電力から「使用済燃料対策ロードマップの実行状況」、「原子力規制委員会の厳格な審査」、「具体的な搬出時期の考え方」、「立地地域の振興・課題解決に向けた取組み」の対応状況が示され、併せて、県に対し事前了解の検討を進めることについて依頼がありました。
県としては、乾式貯蔵施設の事前了解について、県議会をはじめ、立地町、原子力環境安全管理協議会の意見、原子力安全専門委員会の議論・考えを踏まえ、総合的かつ慎重に判断してまいります。
以上、予算および事業を含めて申し上げました。この結果、今回の一般会計の補正予算案の規模は、全体として37億円、本年度予算額の累計は5,106億円となります。
その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。
なにとぞ慎重なご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。
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