第434回定例県議会提案理由説明要旨
令和6年9月9日 第434回 定例県議会
知事提案理由説明要旨
福 井 県
第434回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および令和6年度9月補正予算案の概要につきまして、ご説明申し上げます。
はじめに、先日の台風10号により、九州地方を中心に甚大な被害が発生しております。亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災されたみなさまにお見舞いを申し上げます。本県としましても、更なる防災意識の向上と対策の強化に努めてまいります。
パリ2024オリンピック・パラリンピックでは、本県ゆかりの選手が7人出場し、世界最高峰の舞台で見事な活躍をされました。オリンピックでは、体操男子団体の杉野正尭選手が金メダル、フェンシング男子エペ団体の見延和靖選手が銀メダルを獲得し、県民に大きな感動と希望を与えてくれました。また、パラリンピックでは、陸上競技の川上秀太選手が銅メダルを獲得し、夢と勇気を与えてくれました。
心からお祝いを申し上げますとともに、杉野選手には「福井県栄誉賞」、見延選手、川上選手に「福井県スポーツ特別賞」を授与し、県民のみなさまとともにその功績を称えたいと考えております。
さて、北陸新幹線福井・敦賀開業から半年を迎えます。開業後初めてとなるお盆期間における金沢・福井間の新幹線利用者は、昨年に比べ3割以上増えており、開業から5か月間の関東圏からの来訪者数が4割を超える伸びとなるなど好調を維持しております。
また、県内全域の主要観光地の入込みも大きく増加しており、恐竜博物館については、リニューアル後1年間の来館者数が118万人となり、過去最高を記録した平成30年度の約94万人を大幅に上回りました。
今後も東京駅等での出向宣伝や10月からの北陸DCなど、開業効果がさらに拡大するよう切れ目なく観光誘客に取り組んでまいります。
嶺南地域においては、開業効果をさらに拡大させるため、今月1日から「青々吉日TSURUGA WAKASAデジタルスタンプラリー」を開始し、首都圏に加え関西・中京圏からの誘客を進めています。
7月には「鯖街道」が全国で唯一、「日本遺産プレミアム」に選定され、本県の魅力を海外へもPRする絶好の機会となっております。インバウンドをさらに促進するため、京都に滞在する外国人観光客へのプッシュ型広告や京都駅、金沢駅等での広告掲載などにより、誘客強化を図ってまいります。
二次交通の充実については、来月11日から、福井鉄道・えちぜん鉄道での交通系ICカードによる運賃決済サービスを開始いたします。ICカード利用者の拡大キャンペーンなどにより、県民の利用を促進するとともに、北陸DCなどによる観光需要を最大限に取り込み、地域鉄道の活性化を図ってまいります。
路線バスについては、深刻な運転士不足の影響により、6月の福井市内路線の減便に続き、10月からは広域路線でも減便が実施されます。県では、バス事業者や国、市町等の関係者とともに効果的な運転士確保策について協議、検討を重ね、これまでも就職奨励金や大型二種免許取得支援、バス運転士の緊急求人広告などを実施してまいりました。
今後は、これらに加え、運転士の確保や負担軽減に取り組む事業者、新たな代替交通への転換を図る市町などに対し、さらに強力な支援を行い、バス路線の維持・復便に努めてまいります。
次に、北陸新幹線の整備促進について申し上げます。
敦賀・新大阪間については、小浜・京都ルートの認可・着工に向け、今年は山場となる重要な年と認識しております。7月には、大阪府などが主催する早期全線開業実現大会において、大阪府の吉村知事や関西経済連合会の松本会長などとともに一致協力していくことを確認したほか、北陸新幹線建設促進同盟会として、沿線府県議会協議会、経済団体等と合同で、政府・与党に対し、概算要求において着工のための予算を盛り込むよう強く要請しました。全国知事会議においても、小浜・京都ルートの一日も早い実現への協力を要請し、新幹線の整備促進を盛り込んだ「福井宣言」が満場一致で採択されたところです。
先月の、与党整備委員会においては、敦賀・新大阪間の駅位置・詳細ルートの3案が国土交通省から示され、28日には与党プロジェクトチームが、令和7年度中の着工を目指す決議を行いました。これを受け、国土交通省は概算要求に、新規着工に要する経費を事項要求として盛り込んだところです。今後、年内に駅位置・詳細ルートを決定し、令和7年度政府予算案に着工予算が確実に計上されるよう、県議会のみなさまをはじめ、沿線府県や経済界との連携を一層強化し、全身全霊を傾け政府・与党に強く求めてまいります。
次に、人口減少対策について申し上げます。
8月に本県で初めて開催された「全国知事会議」において、私からは、若者が出生率の低い大都市部に集まることが問題の根幹であり、大学・企業の地方分散など、国の責任において社会構造の転換に本気で取り組むべきと訴えました。「福井宣言」には、人口減少対策の強化も盛り込まれており、全国の知事とともに人口問題に全力で取り組んでまいります。
次期長期ビジョン実行プランおよび人口減少対策戦略の策定にあたっては、長期ビジョン推進懇話会、市町別、分野別などの意見交換会のほか、福井の未来を担う若い世代へのグループインタビューなどを行っており、「仕事や結婚、子育てに関する女性の様々な選択を認め、応援する社会にしてほしい」、「都会並みの給与水準よりも、都会以上の生活水準を実現できる福井県を目指すべき」などのご意見をいただいております。引き続き、県民との意見交換を進めるとともに県議会のみなさまとの議論を深め、将来像の実現に向けた具体的な政策を検討してまいります。
次に、保育人材の確保について申し上げます。
先月、保育施設や保育士養成校、行政が協力・連携する「福井県保育連携協議会」を開催し、保育の仕事の魅力発信や保育士の処遇改善の方向性について協議しました。指定保育士養成校の志願者増加を図るため、養成校が実施する取組みへの支援を行い、保育人材の安定的確保に努めてまいります。
次に、教育について申し上げます。
「教育に関する大綱」については、先月19日に総合教育会議を開催し教育委員との意見交換を行いました。子ども一人ひとりの「個性を引き出す教育」や、知的好奇心や探究心を持って「学びを楽しむ教育」を引き続き推進するとともに、児童生徒がICTの活用により学びを進化させ、興味関心や特性に応じて自らが主体的に学ぶことができる「子どもが主役の教育」を進めてまいります。
この大綱を来月目途に策定したうえで、県教育委員会において、具体的な施策を盛り込んだ新たな「教育振興基本計画」を年度内に策定してまいります。
県立学校における猛暑対策については、令和10年夏までにすべての県立学校において、体育館に空調設備を整備いたします。今年度は6棟の整備にかかる設計を進め、令和8年夏までの完成を目指します。また、完成までの間はスポットクーラーを導入し、生徒が安全かつ快適に体育館で活動できる環境の確保に努めてまいります。
県立大学「地域政策学部(仮称)」については、「福井まちなかキャンパス」として、「アオッサ」において、空きテナントの活用に加え、新たに福井市の協力を得て、学部開設に必要な基準面積を確保したところです。今後、施設改修に向けた準備を進めるとともに、地域フィールド演習等を特色としたカリキュラムの具体化など、学部開設に向けて全力で取り組んでまいります。
また先般、文部科学省からの認可を受け、全国初となる「恐竜学部」の設置が正式に決まり、「入学者選抜要項」を発表しました。先月の進学説明会においても、全国から多くの受験希望者が集まっており、全国オンリーワンの教育・研究体制により、多くのみなさまに夢を与える学部となるよう、来年4月の学部開設に向け、準備を加速してまいります。
次に、経済・産業振興について申し上げます。
物価高が続く中、今年度の本県の最低賃金の改定については、福井地方最低賃金審議会会長および福井労働局長に対し、積極的な議論を要請するとともに、経済界に対しても、継続的な賃上げを求めたところであります。その結果、国の目安額を3円上回り、最低賃金が53円引き上げられ、過去最高となる時給984円が答申されたことは、地域間、さらには国際間の賃金格差の是正・縮小や持続的な賃上げに弾みをつけ、県全体の給与水準の底上げに寄与するものと受け止めております。
県としては、持続的な賃上げの流れを定着させるため、県内中小企業の取引価格の適正化や、収益力強化に向けた伴走支援を強化するとともに、国の助成金への県独自の上乗せを拡充するなど、賃上げしやすい環境整備に努めてまいります。
次に、農林水産業の振興について申し上げます。
デビュー7年目となる「いちほまれ」については、今月3日から、全国のローソンにおいて、いちほまれを使用した塩にぎりが販売されています。また、今年は計画どおり生産を拡大し、節目となる約1万トンの収穫を見込んでおり、県内外ともに、9月21日から新米の販売開始を予定しております。テレビCMの放映や販売開始イベント、大手量販店での企画販売など、プロモーションを積極的に展開してまいります。
敦賀港については、国からの「特定利用港湾」の対象としたい旨の申し入れに対し、県では、地元敦賀市や港湾利用者への説明を実施したうえで、受け入れる旨の回答を行いました。その後、先月26日の関係閣僚会議において敦賀港が特定利用港湾に指定されたところです。
引き続き、整備中の鞠山南岸壁延伸事業などのより着実な推進に努めてまいります。
次に、原子力について申し上げます。
昨年10月に策定された関西電力の使用済燃料対策ロードマップについて、六ヶ所再処理工場の竣工が遅れることにより、計画通り実行できなくなったことは、県との約束に反するものであり、極めて遺憾であります。
このことについて、今月5日、関西電力の森社長と面談し、森社長からは、実効性のあるロードマップへの見直しを今年度末までに実施することとし、見直しができない場合は、美浜3号機、高浜1・2号機の運転は実施しないという不退転の覚悟で臨むとの考えが示されました。
また、6日には、齋藤経済産業大臣に対し、国の責任ある対応を求める要請を行ったところであり、大臣は、今回の状況を重く受け止め、ロードマップを早期に見直すよう関西電力を厳しく指導するとの考えを示しました。
県としては、関西電力と国に対し、使用済燃料の必要な搬出容量を確保できる、実効性のあるロードマップを出来るだけ早く示すよう、強く求めてまいります。
立地地域の振興については、7月、立地地域の将来像に関する共創会議において、これまでの要望などを踏まえ新たな取組の方向性が国や事業者から示されました。私からは、一歩前進ではあるが、早期に具体的な内容や、その実現に向けた道筋を詳細に示すよう求めたところです。
引き続き、国や事業者に対し、真に地域の振興を図っていくという強い覚悟を持って、立地地域と向き合っていくよう求めてまいります。
以上、予算および事業を含めて申し上げました。今回の補正予算編成に当たっては、新幹線開業効果を持続化、最大化するための対応に加え、賃上げの促進や国の支援に合わせた電気料等の物価高への対策を講じることとしております。
この結果、今回の一般会計の補正予算案の規模は、全体として70億円、本年度予算額の累計は5,122億円となります。
最後に、国費事務の不適切な対応により、公務に対する県民のみなさまの信頼を大きく損ねたこと、過去の事案の教訓を生かせず、再びミスが起きてしまう組織体制であったことについて重く受け止め、改めて深くお詫び申し上げます。
なお、私および副知事の責任を明らかにするため、給料を減額するための関係条例案を提案いたしております。
二度と同様の事案を起こさないよう、全庁的な再発防止に取り組んでまいります。
その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。
なにとぞ慎重なご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。
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