カモシカの保護と対応について

最終更新日 2021年10月22日ページID 047956

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 カモシカの保護

 ニホンカモシカ(以下、カモシカ)は昭和30年に特別天然記念物に指定され、保護が図られてきました。かつて密猟などにより個体数の減少がみられましたが、保護施策の強化や森林環境の変化に伴って、徐々に個体数の回復と分布域の拡大がみられるようになっています。その一方で、カモシカが人目に触れることも多くなっています。

 昭和54年以降、文化庁において全国でカモシカ保護地域が設定されました。同地域では、カモシカの生息状況を把握するため、各都道府県の教育委員会により、毎年行う通常調査および5年ごとの特別調査が実施されています。カモシカの生息動向や、食害などに関する情報の継続的な収集が行われ、その結果は文化庁に集約されています。

 福井県には「伊吹・比良山地カモシカ保護地域」および「白山カモシカ保護地域」の2つの調査地域が設定されています。

カモシカ
カモシカ

伊吹比良山地カモシカ保護地域
伊吹・比良山地カモシカ保護地域(網掛部分)

白山カモシカ保護地域
白山カモシカ保護地域(太枠内)

 カモシカの特性

・分類
カモシカは偶蹄目ウシ科ヤギ亜科に分類されており、日本固有の種です。台湾に生息するタイワンカモシカ、東南アジアに生息するスマトラカモシカとともに、カモシカ属に分類されます。

・形態
カモシカは形態に性差がなく、生殖器以外に雌雄を見わけることはできません。頭胴長は100―120cm、体重は30―40kgほどで、体色は黒褐色のものから黒茶色、白色まで様々です。雌雄ともに円錐形の角をもち、毎年生え変わることはありません。角の基部には輪(角輪)があり、その数は年齢とともに増加します。眼の下に分泌腺をもち、分泌物を枝や葉にこすりつけることで「なわばり」の認識を行っています。

・繁殖
カモシカの交尾期は9~12月で、妊娠期間は約7か月です。毎年または隔年で出産します。

・食性
主に落葉広葉樹や常緑広葉樹の葉・若芽を採食します。

・行動
基本的に単独行動をとります。一日で採食と休息・反すうを何度か繰り返します。休息・反すうを行うときは座りこみ、人間が近づいても動じないことがありますが、衰弱しているわけではありません。

<参考文献>
文化庁文化財保護部記念物課『カモシカ保護管理マニュアル』平成6年3月
文化庁文化財部記念物課『特別天然記念物カモシカとその保護地域の管理について』平成25年3月
富山県教育委員会・石川県教育委員会・福井県教育委員会・岐阜県教育委員会『白山カモシカ保護地域特別調査報告書』平成28年3月
京都府教育委員会・福井県教育委員会・岐阜県教育委員会・滋賀県教育委員会『伊吹・比良山地カモシカ保護地域特別調査報告書』平成30年3月

市街地や人里でカモシカを見かけたら

 カモシカは、集落付近や人家の庭など、人の生活が活発な場所に姿を現すこともあります。このような場所でカモシカを見かけたら、まずはカモシカの状態と周囲の状況を確認してください。その際は、カモシカに必要以上に接近しないこと、カモシカを興奮させるような刺激的な行動をしないこと、カモシカの逃げ道をふさがないことに注意してください。
 

カモシカの状態

対応

怪我や病気の様子がなく、元気な場合

 カモシカは基本的には穏やかな性格で、人を襲うことは滅多にないため、様子を見守るのが原則です。無理に捕まえようとしたり、近づいて驚かせるような行動をとると、興奮して人に思わぬ危害を加えることがあります。
 市街地への出没や道路などで車両への衝突事故の危険性があり、緊急性が高い場合は、最寄りの警察署へ連絡してください。
 カモシカが畑などに居つくようであれば、周囲に柵を設置して、近づけないようにするなどの対策をとってください。
 福井県内において、カモシカによる農作物の被害はほとんど報告されていませんが、農作物に被害があるようなら、被害状況を確認し、市町の鳥獣害行政担当部局へ連絡してください。
 上記のほか、カモシカの出没でお困りの場合は、市町の文化財行政担当部局へ相談してください。

怪我や病気を負っていると思われる場合

 自力でえさを食べられる状態であれば、見守りを続けてください。そのまま放置すると生活上のトラブルが生じる恐れのある場合は、市町の文化財行政担当部局に相談してください。

参考:傷病を負った野生鳥獣の保護について

有害鳥獣捕獲のための「わな」にかかってしまった場合(錯誤捕獲)

 放獣するのが原則の対応です。極度に興奮して人に襲いかかろうとするなど危険のある場合のみ、鳥獣保護管理法での許可および文化財保護法による現状変更の許可の両方を得たうえで捕獲することが可能です。鳥獣保護管理法での許可については、市町の鳥獣害行政担当部局を通じて県自然環境課に相談してください。文化財保護法の許可は、当該地が市の場合は市の文化財行政担当課へ、町の場合は県生涯学習・文化財課へ相談してください。

死亡している場合

 死体をできる限り動かさず、当該市町の文化財行政担当部局に連絡してください。

カモシカ担当部局

市町
文化財行政担当→文化財担当課(文化課、文化財課など)
鳥獣害行政担当→農林水産課など


文化財行政担当→生涯学習・文化財課 0776-20-0579
鳥獣保護行政担当→自然環境課 0776-20-0306

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