職場のトラブルQ&A ~賃金と前借金との相殺禁止~
問
私は、就職することを条件に会社から借金をしました。今月に入り経営が苦しいので、いきなり返済分として給料の半分を差し引くと言われました。生活に困るのですが、どうしたらいいでしょうか。
答
労働基準法第17条では、「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」と定めています。
これは、労働者に働くことを条件に金を前貸しして、労働を強制したり、退職を妨げたりすること、そして前貸し分を勝手に毎月の給料から差し引くことなどを禁止しているものです。
これに違反した使用者に対しては、懲役刑(6か月以下の懲役)または罰金刑(30万円以下の罰金)が科せられます。
ただし、前借金そのものを禁止しているものではありません。
また、労働者の人的信用に基づき使用者が行う金銭の融通などは、労働者の身体的拘束の手段にならないこと等が明白な場合、「前借金その他労働することを条件とする前貸の債権」には当たらない場合があります。
このほか、労働基準法第24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者にその全額を、毎月1回以上、一定の期日に支払わなければならない」と定めています。
したがって、賃金の全額を支払うよう求めてください。その上で、使用者と借金の返済方法について話し合ってみてください。
解説
「前借金相殺」、「賃金」について、労働基準法では、次のように定めています。
労働基準法第17条(前借金相殺の禁止)
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
労働基準法第24条(賃金の支払)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
2 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りではない。
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