中東呼吸器症候群(MERS)について説明します

最終更新日 2019年6月6日ページID 029728

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 2012年(平成24年)9月以降、中東地域を中心に患者の発生が報告されている「中東呼吸器症候群(MERS)」について、説明します。

  

中東呼吸器症候群(MERS:Middle East Respiratory Syndrome ) とは

 中東呼吸器症候群(MERS)は、2012年にサウジアラビアで初めて報告された新しい種類のコロナウイルスによる感染症です。
 

病原体

 病原体はMERSコロナウイルス(MERS-CoV)です。

 コロナウイルスは、かぜの様な軽い症状のものから、2003年に中国を中心に患者が発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)のように肺炎などの重症の呼吸器症状を起こすものまで、様々なものがあります。

 なお、MERSコロナウイルスとSARSの病原体のSARSコロナウイルスは異なる種類のウイルスです。

 マーズコロナウイルス

 MERSコロナウイルス(提供:国立感染症研究所)

 

感染経路

 感染経路は、正確には分かっていませんが、ヒトコブラクダが感染源の一つであると推定されています。その一方で、患者の中には動物との接触歴がない人も多く含まれており、家族間、医療機関における患者間、患者-医療従事者間など、濃厚接触者間での限定的なヒトーヒト感染も一部報告されています。

 平成27年5月から6月にかけて、韓国の医療施設において、診断の遅れや感染の予防や制御の対策が十分でなかったことから、多数の患者が発生しましたが、 患者との濃厚接触、例えば防護対策をとらずに治療に当たるようなことがなければ、ウイルスはヒトからヒトへ簡単に感染するとはみられていません。

           ヒトコブラクダ

 

発生地域

 主として、中東地域の一部(アラブ首長国連邦、イエメン、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、ヨルダン)で患者が報告されています。

 このほか、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、アメリカにおいて、中東地域で感染した人(輸入症例)や輸入症例患者と接触して感染した人が報告されています。

 日本での発生はありません。

    

症状

 主な症状は、発熱、せき、息切れなどです。下痢などの消化器症状を伴う場合もあります。MERSに感染しても、症状が現われない人や、軽症の人もいますが、特に高齢の方や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人で重症化する傾向があります。

   

治療

 特別な治療法はありません。

 発症した場合、感染管理された感染症指定医療機関に入院し、症状に応じた対症療法が行われます。

  

予防など

 有効性・安全性が確立されたワクチンはありません。

 中東地域など、MERS患者が発生している地域に渡航する場合には、感染予防と、万が一感染した場合の対応のために、事前に注意事項を確認しておきましょう。

 

国外に旅行する前に注意すること 

  • 糖尿病や慢性肺疾患、免疫不全などの持病(基礎疾患)がある方は、MERSに限らず、一般的に感染症にかかりやすいので、旅行の前にかかりつけの医師に相談し、渡航の是非について検討してください。
  • 渡航前に現地の最新の情報を検疫所ホームページ、外務省 海外安全ホームページ、在外日本国大使館ホームページなどで確認してください。

 

 中東に渡航する方へ(中東呼吸器症候群に関する注意)(厚生労働省検疫所 FORTH)

 厚生労働省検疫所(新着情報) (厚生労働省検疫所FORTHホームページ)

 外務省海外安全ホームページ

  

国外旅行中に注意すること

  • 現地では、こまめに手を洗う、加熱が不十分な食品(未殺菌の乳やアイスクリームやミルクチョコレート、生肉など)や不衛生な状況で調理された料理をさけ、果物、野菜は食べる前によく洗う、といった一般的な衛生対策を心がけてください。
  • 咳やくしゃみの症状がある人や、動物(ラクダを含む)との接触は可能な限り避けましょう。
  • 咳、発熱などの症状がある場合は、他者との接触を最小限にするとともに、咳エチケット([1]マスクをする、[2]咳・くしゃみの際はティッシュペーパーなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむける、[3]使用したティッシュペーパーはごみ箱に捨て、手を洗うなど)を実行しましょう。日常生活に支障が出る程の症状がある場合は、医療機関を受診してください。

 

帰国後に注意すること

  • 帰国時に発熱や咳などの症状がある方は、空港内等の検疫所へご相談ください。
  • 帰国後14日以内に、発熱や咳などの症状がみられたら、直接医療機関には行かずに、事前に最寄りの保健所(健康福祉センター)に連絡の上、中東地域等に滞在していたことを告げてください。
  • 症状がある間は、他者との接触を最小限にするとともに、咳エチケットを実行してください。

 

 

   

  

医療機関の皆様へ 

 当分の間、医師が、下記のいずれかに該当する者を診察した結果、症状や所見からMERSへの感染が疑われると診断した場合には、MERS疑似症患者として、直ちに最寄りの保健所(健康福祉センター)に届出をお願いします。

(「中東呼吸器症候群(MERS)に関する連絡票」の提出は不要です。)  

  

(MERS疑似症患者の定義)

定義1または定義2に該当する者についてMERS疑似症患者として取扱います。

 

・定義1 次のアまたはイに該当する者(ただし,これらの者がMERSではなく他の疾病であることが明らかな場合を除く。)

 

ア 38℃以上の発熱および咳を伴う急性呼吸器症状を呈し,かつ臨床的または放射線学的に肺炎,ARDS等の肺病変が疑われる者であって,発症前14日以内に流行国(※1)において,MERSであることが確定した患者との接触歴があるものまたはヒトコブラクダとの濃厚接触歴(※2)があるもの
 

イ 発熱または急性呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する者であって,発症前14日以内にMERSであることが確定した患者を診察,看護もしくは介護していたもの,MERSであることが確定した患者と同居(当該患者が入院する病室または病棟に滞在した場合を含む。)していたものまたはMERSであることが確定した患者の気道分泌液,体液等の汚染物質に直接触れたもの

※1 流行国:中東地域の一部(アラブ首長国連邦、イエメン、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、ヨルダン)
※2 ヒトコブラクダとの濃厚接触歴:ヒトコブラクダの鼻や口等との接触(ヒトコブラクダから顔を舐められるなど)や,ヒトコブラクダの生のミルクや非加熱の肉などの摂取

 

・定義2 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について」(平成18年3月8日健感発0308001号)の別紙に定める「医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準」(以下「届出基準」という。)(別添1)における疑似症患者の定義に該当する者

なお,届出基準(別添1)第3の5の(4)感染が疑われる患者の要件における「WHOの公表内容から中東呼吸器症候群の初発例の発生が確認されている地域」についても,「中東地域の一部」とする。

 

中東地域地図

アラビア半島またはその周辺諸国   

 

お問い合わせ先

中東呼吸器症候群(MERS)に関してのご相談は、お近くの健康福祉センター(保健所)にお問い合わせください。

8:30~17:00(土日祝日、年末年始を除く)

市保健所名 電話番号
福井市保健所 保健予防室 0776-33-5184
県健康福祉センター名 電話番号
福井健康福祉センター 0776-36-3429
坂井健康福祉センター 0776-73-4858
奥越健康福祉センター 0779-66-2076
丹南健康福祉センター 0778-51-0034
二州健康福祉センター 0770-22-3747
若狭健康福祉センター 0770-52-1300

 

リーフレット

MERSリーフレット

  

リンク

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