タミフル服用後に患者が転落死した事例等が報告されたことを受けて、平成19年3月には、予防的な安全対策として、添付文書(薬に添付されている説明文書)を改訂し、下記の注意を添付文書の警告欄に記載し、「緊急安全性情報」を医療機関に配布しました。
- 10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。
- 小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。
その後、タミフルの服用と転落・飛び降り、またはこれらにつながるような異常な行動や突然死などとの関係について、平成19年4月以降、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において調査・審議が行われ、副作用等報告、非臨床試験(動物実験等)、臨床試験、疫学調査等の結果を検討してきましたが、平成21年6月の同調査会において、
・タミフルと異常な行動の因果関係について、疫学調査の解析結果のみから明確な結論を出すことは困難であると判断された。
・タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴って発現する場合があることが明確となった。
・平成19年3月の予防的な安全対策以降、タミフルの副作用報告において、10代の転落・飛び降りによる死亡等の重篤な事例が報告されていない。
ことから、予防的措置としての上記の対策(枠囲み)について、引き続き、医療関係者、患者、家族等に注意喚起を図ることとされました。調査会の資料は、厚生労働省のホームページの下記アドレスに掲載しています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/06/s0616-5.html
その後、平成22年8月21日及び平成23年11月2日に行われた安全対策調査会において、その後に得られた副作用情報等の評価を行いましたが、タミフルと異常行動との因果関係を示す結果は得られていないとして、引き続き、これらの対策を行うことが妥当とされております。